【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.12】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23OS0038
利用課題名 / Title
高蓄電容量を有するLi過剰系正極材料の充放電ヒステリシス損失の起源を探る
利用した実施機関 / Support Institute
大阪大学 / Osaka Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,コンポジット材料/ Composite material
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
高見 剛
所属名 / Affiliation
京都大学 人間・環境学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
アイレシデン アブリケム
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
市川 聡
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、リチウム過剰系正極材料の充放電時における局所構造変化を超高圧電子顕微鏡(JEM-ARM200F)で明らかにする。コンプトン散乱・磁気コンプトン散乱測定で得たアニオンレドックス反応に関与するO 2p軌道と遷移金属 3d軌道の寄与を解析し、リチウム過剰系層状遷移金属酸化物LixNi0.2Mn0.6O2における大きな充放電ヒステリシス損失の起源を探るためには、局所構造の知見が重要である。HAADF-STEMにより、充電状態と放電状態の違いによるLi1.2Ni0.2Mn0.6O2の超格子構造の変化を検知した。
実験 / Experimental
ゾル-ゲル法で合成したリチウム過剰系正極を用いて、25℃、電流密度10 mA/gのコイン型電池で作製した。充放電過程で電池セルを解体して、正極合剤を得た。電極は、ジメチルカーボネートで洗浄した後、ジメチルカーボネートに分散させた。STEM測定用の最終試料は、銅マイクログリッド上に懸濁液を滴下して作製した。試料は、空気への曝露を最小限に抑えるため、アルゴン充填グローブボックス内で保管・準備し、観察用サンプルとした。
結果と考察 / Results and Discussion
リチウム過剰系正極であるLi1.2Ni0.2Mn0.6O2の超格子構造がどの充放電過程で形成されるかを確認するため、初期組成Li1.2Ni0.2Mn0.6O2(サンプルA)、充電後のLi0.1Ni0.2Mn0.6O2(サンプルD)、放電後のLi0.1Ni0.2Mn0.6O2(サンプルE)のHAADF-STEM像を測定した。図1のHAADF-STEM像に示すように、サンプルAとサンプルDはいずれも[110]結晶方向からのダンベル構造を示し、[001]方向への理想的なハニカム秩序に対応しているが、サンプルEは完全に無秩序である。したがって、Li1.2Ni0.2Mn0.6O2のハニカム秩序は、充電過程では比較的良好に維持され、放電過程では無秩序になるという結論を得ることができる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
HAADF-STEM images of A, D, E samples and schematic structure change during charge-discharge process.
The schematic of superstructure changes in Li1.2Ni0.2Mn0.6O2 at different charged and discharged states according to the results from HAADF-STEM data. Blue is Li; purple is Ni or Mn, and red is O.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、増屋記念基礎研究振興財団の助成を受けて行われました。機器利用にあたり、市川聡先生から多大なご支援を賜りましたことに感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件