利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23OS0035

利用課題名 / Title

薬剤送達のためのリン脂質/界面活性剤分子集合体の形態制御

利用した実施機関 / Support Institute

大阪大学 / Osaka Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田口 翔悟

所属名 / Affiliation

兵庫県立大学 工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

高木空先生,梶村直子先生,光岡薫先生

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

OS-010:120kVバイオ観察電顕


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

経皮吸収型薬物送達システム(TDDS)において、カプセル製剤として様々な分子集合体が検討されている。その中で、円盤状の分子集合体「バイセル」は、リン脂質から構成された二分子膜構造の縁が界面活性剤分子によって覆われた構造を持ち、高い生体適合性や高い皮膚浸透性が利点として挙げられる。一方で、バイセルは高濃度かつ特定のリン脂質/界面活性剤の組成でしか形成されない不安定な集合形態であるため、温度や濃度の変化によって保持担体中でバイセルの形態変化を引き起こすことが懸念される。本研究では、リン脂質/界面活性剤/水の3成分系から成る相図の作成および保持担体寒天ゲル中における分子集合体の集合形態の評価に取り組み、バイセルを用いたTDDS製剤の開発に向けた基礎的知見を得た。

実験 / Experimental

リン脂質DPPCと界面活性剤DHPCを混合して異なるDHPC組成のDPPC/DHPC分子集合体(総濃度20 mM)を調製し、2 mMまで希釈した。各濃度における分子集合体の物性を評価し、DPPC/DHPC/H2O 3成分系の相図を作成した。分子集合形態を動的光散乱(DLS)法、透過型電子顕微鏡(TEM, ARIM所有設備)で観察し、内部構造を蛍光分子Laurdanまたはpyreneによる蛍光プローブ法を用いて評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

粒子径と内部構造の評価から、xDHPCの増加による形態変化に伴うサイズの減少と二分子膜構造の可溶化、希釈による形態変化に伴うサイズの増大と二分子膜構造の維持・形成、形態変化を起こす濃度が明らかになった。なお、このサイズの増大はバイセルからベシクルへの形態変化を示唆している。得られた種々の物性からDPPC/DHPC/H2O 3成分系の相図を作成した。次に、相図を基にバイセルを寒天ゲルに混合し、その放出挙動を観察した。なお、寒天ゲルにバイセルを混合する際、DPPCの相転移温度以上に熱を加えた場合、バイセルのサイズの増大が示唆された。蛍光色素を含んだバイセルの分光分析から、寒天ゲル中に形成された寒天分子の網目構造によるNBD PEを含むバイセルの拡散の抑制と、希釈によるバイセルの形態変化に伴うBODIPY C12分子の放出が確認された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究を進めるにあたって、TEM画像撮影にご協力頂きました大阪大学超高圧電子顕微鏡センター教授・光岡薫先生、特任研究員・梶村直子先生、同・高木空先生に御礼申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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