【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.12】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23OS0018
利用課題名 / Title
Transmission electron microscopy characterization of low-dimensional nanostructures on Si and oxide substrates
利用した実施機関 / Support Institute
大阪大学 / Osaka Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,X線回折/ X-ray diffraction,原子層薄膜/ Atomic layer thin film,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
成瀬 延康
所属名 / Affiliation
滋賀医科大学 医学部
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
廃熱など多くの有効利用されていない熱エネルギーを電気に変換可能な熱電変換は、持続可能エネルギー源として高い注目を浴びている。特に、薄膜熱電材料は、小型・軽量なため、可動性を必要とするセンサ等の電源としての利用が期待される。熱電性能向上のためには、低い熱伝導率(κ)、高い電気伝導率(σ)、高いゼーベック係数(S)の同時実現が求められるが、これらの三つの物性値がトレードオフの関係にあるため、性能向上は容易ではない。GeTe は、低群速度由来の低κと高縮重度由来の高S が期待され、実際にGeTeバルクで高い性能が報告されている。我々は、Te 揮発性によりGe 空孔濃度をドメイン制御により界面キャリア散乱を制御することで、高いSをもつことが期待されるエピタキシャルGeTe 薄膜/Si を作製した。本研究では、この作製した薄膜の構造評価を目的にFIB加工し、HRTEM観察を行った。
実験 / Experimental
高真空環境下(3×10-6 Pa)にてパルスレーザー蒸着法を用いてGeTe 薄膜をSi(111)基板上にエピタキシャル成長した。この際、基板温度を473-593 K の範囲で変えて4 種類の試料を作製した。構造の評価には、X線回折法、走査型電子顕微鏡法、高分解能透過型電子顕微鏡法(HRTEM)、および組成分析にエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いた。HRTEMでは、電子線入射方位は<1̅10>Si方位であった。
結果と考察 / Results and Discussion
低倍率HRTEM像から、GeTe薄膜は柱状構造からなり、柱状構造間の界面は平均約60 nmの間隔で密に形成されていることがわかった。HRTEM像において、柱状構造間の界面付近を撮影し、それらの二つのドメイン領域A,Bに注目した。HRTEMの領域A,Bの高速フーリエ変換(FFT)パターンから、それぞれ(001)GeTe//(111)Siと[21̅0]GeTe//[1̅10]Si(領域A)、および(001)GeTe//(111)Siと[2̅10]GeTe//[1̅10]Si(領域B)の関係にあるGeTeの理論的な回折パターンに対応していた。このことから、領域Aと領域Bを含むドメインが互いに180°回転していることが明らかになった。以上の解析から、エピタキシャルGeTe薄膜はSi(111)基板上で180°回転した柱状構造、すなわち双結晶柱状構造で構成されていることが明らかになった。この双結晶柱状構造(180°回転柱状構造)の界面は、低い界面エネルギーに起因する界面の欠陥面積密度Dが低く、キャリアが比較的スムーズに移動できることが知られている。一方、元素分布を調べるために、薄膜のいくつかの点でのEDX測定を行った。GeとTe原子はほぼすべての測定点で一様に分布していたが、一部でGeの析出が観察された。GeとTeが均一に分布している測定点では、GeとTeの平均比率は58:42であった。このことは、Teの少ないGeTe薄膜が良好に形成されたことを証明しており、Teに対してGeが多いためにVGeの発生が抑制できることを示唆している。このように、Te-poorGeTe薄膜はSi(111)基板上にエピタキシャル成長することがわかった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は、科学研究費補助金 基盤研究A (No.19H00853、No.21H04654) 若手研究(No.21K14536)の支援を受けた。本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金基盤研究(ARIM)、大阪大学基礎工学研究所スピントロニクス研究ネットワーク部門、JPMXP12220S1021の支援を受けた。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Takafumi Ishibe, Boosting Thermoelectric Performance in Epitaxial GeTe Film/Si by Domain Engineering and Point Defect Control, ACS Applied Materials & Interfaces, 15, 26104-26110(2023).
DOI: 10.1021/acsami.3c01404
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Takafumi Ishibe, Interface design of transparent thermoelectric epitaxial ZnO/SnO2 multilayer film for simultaneous realization of low thermal conductivity and high optical transmittance, Applied Physics Letters, 122, (2023).
DOI: 10.1063/5.0124814
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 石部 貴史,成瀬 延康, 目良 裕, 山下 雄一郎, 大石 佑治, 中村 芳明, "エピタキシャルGeTe 薄膜/Si の熱伝導率とフォノン輸送機構", 第71回応用物理学会春季学術講演会, 2024年3月22-25日、口頭発表
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件