利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT0030

利用課題名 / Title

単結晶シリコンへき開面ナノギャップの表面修飾による性能向上

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

劈開,シリコン基材料・デバイス/ Silicon-based materials and devices,ナノギャップ,劈開制御,電子顕微鏡/ Electronic microscope,コンポジット材料/ Composite material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

霜降 真希

所属名 / Affiliation

京都大学 マイクロエンジニアリング専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

鈴木 博

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-408:デュアルビーム走査電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

エナジーハーベスティングに利用可能な大面積ナノギャップの作製と特性評価のため、MEMSデバイス上にパターニングされた単結晶シリコン梁を(111)結晶面に沿って劈開し、そのギャップ間隔を20nm以下の領域で制御し特性評価を行う方法を研究している。特に電気特性はナノギャップ対向表面の終端分子によって大きな影響を受けることが予想されており、発電性能を向上できる修飾分子種や修飾方法を開発し、高性能なエナジーハーベスターへ応用することを目的とする。先行研究では単結晶シリコンのへき開亀裂の遷移によりへき開面に凹凸が生ずることが課題となっていた。そこで、本施設のKT-408デュアルビーム走査電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いて先行研究よりも小さな、100nm程度の曲率半径を有する切欠きをへき開破壊の起点として作製した。

実験 / Experimental

図1にデバイスの概要を示す。このデバイスはデバイス層5µm、BOX層2 µm、ハンドル層400 µmのSOIウエハーから製造しており、デバイスの構造はフォトリソグラフィーによってデバイス層にパターニングし作製したものである。初期状態では長軸がシリコンの(111)結晶方向と一致するようにアライメントされた可動部であるシャトルと固定部のアンカーが切欠きを介して一体化しており、シャトルへ引張力を印加することによって切欠きでへき開する。このデバイスは切欠きに対してシャトル側とアンカー側で非対称な構造となっており、へき開亀裂遷移の原因となっていたが(図2)、左側に切欠きを導入することにより解消できることが有限要素法(FEM)により予想された。
実験では、デバイスをKT-408の試料室へ導入し、Ga+イオンの収束ビームにより幅100 nm・長さ500 nm程度の切欠きを作製した。(図3)切欠きを作製したデバイスについて先行研究と同様にシャトルへ引張力を印加し、へき開破壊させた。

結果と考察 / Results and Discussion

切欠きを作製したデバイスのへき開破壊の結果を図4に示す。図2では明らかな遷移が生じ破壊面も凹凸が見られたのに対し、図4では遷移が見られず、へき面も極めて滑らかであることが確認できる。遷移が解消されたのはFEMで予想されたように左側へ鋭い切欠きを導入したことにより、左から亀裂が進展したためであると考えられる。また、極めて滑らかなへき開面が得られたのは、切欠きが鋭く、小さな公称応力によって破壊が開始したため、速度が低速のまま亀裂進展し破壊伝播が安定したためであると考察している。これによって、FIBによる鋭い切欠き導入がへき開面ナノギャップの創製に極めて有効であることが示された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 デバイスの概要



図2 へき開破壊時の亀裂遷移



図3 FIBにより導入した切欠き構造



図4 FIBによる切欠きを起点としたへき開破壊の結果


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は矢崎科学技術振興記念財団、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業(京都大学微細加工プラットフォーム)、森記念製造技術研究財団、JSPS科研費 JP21H01261の支援を受けて実施されました.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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