利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.09】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NI1803

利用課題名 / Title

Co-Sn非平衡合金薄膜の垂直磁気異方性に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋工業大学 / Nagoya Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,メスバウアー分光/ Mossbauer spectroscopy,資源代替技術/ Resource alternative technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

藤田 誠矢

所属名 / Affiliation

名古屋工業大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NI-018:磁気特性測定装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 垂直磁気記録方式の磁気メモリで使用する垂直磁化膜として、立方晶強磁性金属層と貴金属層からなる多層膜構造が研究されている。強磁性金属層としてスピン分極率の高い3元系ホイスラー合金が注目されているが、薄膜化による規則度の低下が問題になる。そこで本研究ではホイスラー合金と似た構造を持ち、容易な規則化が期待される2元系立方晶Co-Sn合金に注目した。立方晶のCo-Sn合金は熱平衡状態では存在しないが、真空蒸着により薄膜が作製できる可能性がある。また、Co-Sn合金はメスバウアー原子核の119Snを含むため、メスバウアー分光測定による局所的な磁気特性評価が可能であり、多層膜化や薄膜化による結晶構造の乱れや垂直磁気異方性の変化を観察する基礎研究に利用できる。
 本研究では、非平衡立方晶Co3Sn合金薄膜およびCo3Sn合金層とPd層からなる多層膜構造の試料を作製し、垂直磁気異方性の評価を行った。

実験 / Experimental

 真空蒸着装置によりMgO(001)基板上にCoとSnを交互に蒸着することで膜厚33 nmの単層のCo3Sn薄膜を作製した。また同様の成膜法を用いてCo3Sn(0.55 nm)層とPd(2 nm)層を交互にnn=6, 8, 10, 12)回積層した[Co3Sn/Pd]n構造の多層膜を作製した。Co3Sn単層膜の試料に対してX線回折測定による結晶性の評価、磁気特性測定装置(NI-018)を用いた磁化測定およびメスバウアー分光測定による磁気特性の評価を行った。また、[Co3Sn/Pd]n構造の多層膜に対して磁化測定を行い、得られた面内方向と面直方向の磁場に対する磁化曲線から垂直磁気異方性エネルギーの評価を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Co3Sn単層膜に対するX線回折測定から、非平衡の立方晶Co3Sn薄膜がMgO(001)上に正方晶歪を伴って単結晶成長していることが分かった。また、立方晶はB2型以上の規則度を持つ事がわかった。磁化測定の結果から、立方晶Co3Sn薄膜は100Kで飽和磁化が600 kA/mの強磁性体であることがわかった。またメスバウアー分光測定の結果から立方晶Co3SnはBulkで作製できるCoSnとは全く異なる内部磁場を示すことがわかった。[Co3Sn/Pd]n多層膜試料に対する磁化測定の結果から見積もられた垂直磁気異方性エネルギーは積層数の増加によりn=10までは増加するが、それ以上では低下することがわかった。算出したn=10の垂直磁気異方性エネルギーは2.53×105 J/m3となることが分かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 藤田 誠矢、福井 佑人、伊藤 史弥、髙橋 芳仁、田中 雅章、壬生 攻、”非平衡 Co3Sn 合金薄膜の作製と垂直磁気異方性の評価”、第84回応用物理学会秋季学術講演会、2023年9月22日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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