【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1316
利用課題名 / Title
マイクロ流体デバイスを応用した先端計測技術の開発
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
1分子計測,膜タンパク質,チャネル分子立体構造 ,CVD,リソグラフィ/ Lithography,ダイシング/ Dicing,流路デバイス/ Fluidec Device,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
平井 義和
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
浅越雄介
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-103:レーザー直接描画装置
KT-104:高速マスクレス露光装置
KT-119:両面マスク露光&ボンドアライメント装置
KT-205:プラズマCVD装置
KT-218:レーザダイシング装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
細胞膜に存在するイオンチャネルが物理的・化学的な刺激を受容して膜内外にイオンを選択的に透過させるチャネル機能は、生体の様々な生理現象と関連していることが知られている。しかしその詳細については未解明な部分が多いため、チャネル機能とチャネル分子立体構造が変化する様子を関連づけることで、全容を解明する研究が進められている。本研究では、イオンチャネルが化学刺激に応答してチャネル分子立体構造が変化する様子を1分子レベルで実時間動画として計測するため、X線1分子動態計測法(DXT法)で用いるマイクロ流体デバイスを京都大学ナノテクノロジーハブ拠点の設備を用いて作製した。
実験 / Experimental
金ナノ結晶と白色X線を用いるDXT法では、イオンチャネルを固定して白色X線を照射する観測窓をシリコン窒化膜のメンブレン構造にすることでX線散乱ノイズが低減できるので、高い時空間分解能でイオンチャネルの動きを計測できることが明らかになっている。そこで本研究のマイクロ流体デバイスでは、両面窒化膜付シリコンウェハをフォトリソグラフィとシリコンエッチングプロセスで加工し、2 mm四方のシリコン窒化膜メンブレン構造を観測窓とする流体デバイスを作製した(Fig. 1)。イオンチャネルを観測窓部に化学的に修飾・固定するため、片側の窒化膜メンブレン構造には酸化膜をプラズマCVD装置で成膜、他方の観測窓部付近には厚膜ネガレジストを用いてフォトリソグラフィで流路構造をパターニングし、これら2枚のチップを治具で固定して化学刺激を送液するためのマイクロ流路を形成した。作製したマイクロ流体デバイスをDXT計測システムに設置し、化学刺激に相当する2種類のバッファーをデバイス内に送液することで化学刺激に応答したイオンチャネル(KcsAカリウムチャネル)の動きをDXT法で計測した。
結果と考察 / Results and Discussion
紫外線フォトリソグラフィでネガレジストの流路パターンを均一な高さで作製することで、治具による機械的な締め付けでも漏れのないマイクロ流路を形成できた(Fig. 2)。流量センサと送液ポンプで化学刺激のシーケンスを制御しながら観測窓部のイオンチャネルに刺激を印加すると、そのシーケンスに依存した運動応答を計測することができた。イオンチャネルが活性化する刺激印加条件で計測された回転(ねじれ)運動は、KcsAがイオンを透過させる際のゲーティング運動に相当するもと考えられ、本研究により化学刺激を受容したイオンチャネルの運動応答を1分子レベルで計測できるマイクロ流体デバイスを開発できた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Schematic illustration of the microfluidic device for DXT measurement.
Fig.2 Optical image of the fabricated device and measured profile of the microchannel.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
最優秀技術論文賞:第40回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(電気学会E部門大会)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Yusuke Asagoe, Hirofumi Shimizu, Yoshikazu Hirai, "Microfluidic-based Diffracted X-ray Tracking Method for Precise Recording of Ion Channel Motion in Response to Sequential Chemical Solution Changes", The 27th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (MicroTAS 2023), Katowice, POLAND (October, 2023), 4C1-4
- 琴屋健太郎, 山内一慶, 清水啓史, 平井義和, “化学刺激によるイオンチャネル構造変化を解析する1分子動態計測技術”, 第40回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム, 電気学会, 熊本, 2022年11月, 6P2-M-6
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件