利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT0044

利用課題名 / Title

Cu 中のヘリウムバブルの動的挙動の超高分解能電子分光解析

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

核融合炉材料、へリウム照射損傷,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子分光/ Electron spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

小野 興太郎

所属名 / Affiliation

島根大学 材料エネルギー学部

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

小野興太郎,宮本光貴

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

治田允貴

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-403:モノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

核融合炉プラズマ対向材料は、多量のHeに曝される結果、材料中にHeバブルが蓄積される。このバブルは、材料の持つ機械的・電気的特性などの物性を劣化させることから、バブルの発生・発達挙動を解明し、有効な制御手段を構築することが炉の実現のために重要である。本研究は、その基礎研究として、イオン照射によってCu中に形成されたバブル中に含まれるHe量を超高分解能電子エネルギー損失分光法によって定量し、バブルの発生・発達機構を解明することを目指す。915Kで焼鈍したCu中のバブルのブラウン運動を透過電子顕微鏡その場観察し、その結果からバブルの移動度を求めた。この移動度は、バブルの内圧に依存する可能性があるので、同様なバブル中に含まれるHeの量を電子エネルギー損失分光法により測定した。得られたHe密度のバブルサイズ依存性はあまり見られなかった。  

実験 / Experimental

高純度Cu試料に、473~623Kの範囲で10keVのHeイオンを 5x1019 ions/m2 程度照射し、その後、915Kまで昇温した。昇温焼鈍中のバブルの動的挙動を透過電子顕微鏡を用いて、その場観察し、移動度や転位との相互作用などを測定し、解析した。同様な試料について、モノクロメーター搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡(JEM-ARM-200F)を用いて、バブル中のHeの電子エネルギー損失スペクトルを室温で測定した。結果を、Gatan社のGMS-3ソフトウエアーを用いて解析し、バブル中に含まれるHeの密度を算出した。 

結果と考察 / Results and Discussion

代表的なバブルの高角度環状暗視野(HAADF)像を図1に示す。図2には、バブルの中心付近から得られた電子エネルギー損失スペクトル(EELS)信号強度を損失エネルギーに対して示す。22.5 eV付近にHe電子の1s-2s2p励起に伴うエネルギー損失ピークが見られる。1 eV程度のピーク位置のシフトは、高密度状態のHeの存在を示唆する。赤線は、バブル近傍から得られたプラズモンロスによるバックグランドスペクトルであり、これを差し引くことによりHe密度を求めた。He密度の算出は、J. A. Walsh(2000)等の解析法を用いて行った。He密度のバブルサイズ依存性は、あまり見られなかった。さらに、得られたHe密度からバブルの内圧を見積もった。He密度の照射条件、焼鈍温度の依存性についてさらに調べる予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.ヘリウムバブルのHAADF 像



図2.バブルのEELSスペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

J. A. Walsh et al., Phil. Mag., A80(2000)1507.   


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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