利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT0042

利用課題名 / Title

q分解EELSによるβ-CuGaO2の電子構造の研究

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

太陽電池/ Solar cell,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子回折/ Electron diffraction,電子分光/ Electron spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐藤 庸平

所属名 / Affiliation

東北大学 多元物質科学研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

佐藤庸平,大澤優太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

治田充貴

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-403:モノクロメータ搭載低加速原子分解能分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、太陽電池材料として3元系ウルツ鉱型結晶であるβ-CuGaO2が注目されており、光学測定においてバンドギャップエネルギー1.47eVの半導体であることが分かっている。一方で、理論計算の近似法によって、直接型と間接型の両方のバンドギャップ構造が報告されている。β-CuGaO2はサイズが大きい結晶を生成することが困難であり、数μm程度の結晶粒のみ生成されていることから、実験的なバンド構造の検証は行われてこなかった。本研究では、電子顕微鏡を用いた角度分解電子エネルギー損失分光法を用いてβ-CuGaO2の単結晶領域からの測定を実施し、そのバンド構造およびバンドギャップが直接型か間接型のどちらかかを明らかにすることを目的とする。

実験 / Experimental

β-CuGaO2の結晶粒をエポキシ樹脂に包埋し、イオン研磨によって薄片化しTEM試料とした。測定はモノクロメータ搭載原子分解能電子顕微鏡を用いて加速電圧200kVで測定を行った。β-CuGaO2の単結晶領域に電子線を照射・電子回折図形を結像し、q//110方向に散乱された非弾性散乱電子をΔq=0.3Å-1の幅の絞りを用いてEELS分光器に取り込むことによって、角度分解EELSスペクトルを取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

β-CuGaO2のバンド構造が直接型か間接型ギャップのどちらかを明らかにするために、q//110方向に散乱された電子のEELS測定を行った。β-CuGaO2と同じ構造を持つβ-AgGaO2では、価電子帯の上端がk=0のΓ点に、伝導帯の底部がq//110方向の有限のq値に位置していることが理論計算でわかっており、間接バンドギャップ構造の特徴が表れる。そのため、β-CuGaO2においてもq//110方向でのスペクトル強度立ち上がり位置のq依存性を観測することで、直接型または間接型のバンドギャップ構造の判定が可能と考えられる。図(a)はβ-CuGaO2の電子回折図形であり透過スポット000と回折スポット110を示している。赤い円はEELS分光器の取り込み絞り位置を示しており、図で示した4つの絞り位置でのEELSスペクトルをそれぞれ取得した。運動量移送分解のはΔq=0.3Å-1である。図(b)は各取込絞り位置から取得したEELSスペクトルである。q=0Å-1ではスペクトル強度の立ち上がり位置が1.5eV程度であったのに対して、q=0.3Å-1ではそれよりもスペクトル立ち上がり位置が低エネルギー側の1.3eVに観測された。この立ち上がり位置のq依存性は、間接バンドギャップ構造の特徴を示しており、β-CuGaO2が間接型のギャップ構造を有することが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


(a)β-CuGaO2の電子回折図形とEELS測定時の取り込み絞り位置。(b)q依存EELSスペクトル。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 口頭発表, 大澤優太、斎藤興也、佐藤庸平、寺内正己、鈴木一誓、小俣孝久、"q分解EELSを用いたβ-CuGaO2の電子構造の研究II"日本物理学会2024年春季大会, 2024/03/20
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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