【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.26】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT0031
利用課題名 / Title
ヒトスティンギング試験および膜動態モデルによる界面活性剤で誘起される「かゆみ」の評価
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
かゆみ, 膜ダイナミクス, 界面活性剤,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
安 鋼
所属名 / Affiliation
コタ株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
萬代 由莉恵
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
小川 哲也
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
弊社は美容室向けのプロフェッショナルの頭髪化粧品会社です。中長期、かつ繰り返し界面活性剤に接触する機会が多い美容師の中には、慢性的な「かゆみ」等の症状に悩み、美容師という仕事の継続を断念せざるを得ない方も少なくなく、界面活性剤によるかゆみの抑制は、美容業界にとって非常に重要な課題となっております。一方、界面活性剤による「かゆみ」については、主観的な感覚であることから、研究を進めるうえで必須となる定量的な評価が難しく、「かゆみ」に関する評価方法を含めた研究は未だ途上であるという状況です。そのような中、我々は、界面活性剤が与えるかゆみや刺激性を評価するための方法として、リポソームに界面活性剤が作用したときの膜構造変化の観察による刺激の程度を推測する研究を進めておりました。そこで当社は、基礎研究を実施し、「ヒトのかゆみを定量的に評価する手法」及び「かゆみを抑制する方法」を探索いたしました。
実験 / Experimental
界面活性剤が与えるかゆみを数値化するために、被験者に対して複数のアミノ酸系界面活性剤を使用した皮膚への貼付試験を行い、界面活性剤によるかゆみを「ヒトかゆみスコア」として数値化し、影響が大きい界面活性剤を同定いたしました。また、得られた結果をリポソームの構造変化を数値化した「リポソームスコア」と比較し、ヒトが感じるかゆみとリポソームには相関があることを明らかにするとともに、かゆみを抑えることができる界面活性剤の存在を確認いたしました。今まで臨界点ミセル濃度の測定、光散乱法による試験を行いましたが、ミセルそのものの変化につきまして、確認の必要性を実感致しました。今回の利用目的として、透過式電子顕微鏡による界面活性剤のミセル形状及び混合時集合体の構造を観察し、混合時のミセルサイズ及び形状変化を目指しています。
結果と考察 / Results and Discussion
今回利用では、界面活性剤のミセルサイズ、形状変化等の有用な情報が得られませんでした。本試験の観察条件では、14.2mMラウロイルグルタミンナトリウム溶液の濃度は界面活性剤の臨界点ミセルより高いですが、絶対的な濃度として、比較的に低く、サンプル作成、観察時で観察できない可能性も十分にあると考えております。また、本試験濃度はヒトスティンガーで実施したかゆみ試験と同一濃度で実施する必要がありますので、高濃度の界面活性剤の観察することができません。また、低温の条件では、氷と界面活性剤の分子形状との識別は難しく、観察時間がかかりました。今回の利用では、せっかく課題申請が可決されましたが、残念ながら、有用なデータを取得できませんでした。今後、よりミセルサイズ及び形状の観察しやすい条件を検討するうえで、再度電子顕微鏡による観察を実施予定です。今後とも宜しくお願い致します。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本試験では、京大化学研究所複合ナノ解析化学領域の小川哲也先生に親切なご相談、技術作業を受けております。深く感謝致します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件