利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT0014

利用課題名 / Title

キラル遷移金属ダイカルコゲナイドによる高効率電流/スピン流変換

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,電子顕微鏡/ Electronic microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

須田 理行

所属名 / Affiliation

京都大学大学院 工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

小川 哲也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-401:極低温透過電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

キラルファンデルワールス超格子は、キラリティ誘起スピン選択性(CISS)効果を利用してスピン依存電気化学反応への道を開く革新的な材料である。本研究では、金属伝導性を示すTiS2単結晶にキラル分子を電気化学的に挿入することで、スピン偏極率:95%というほぼ完全なスピン選択性を達成するとともに、酸素発生反応において顕著な触媒活性を示すことを見出した。

実験 / Experimental

キラルTiS2超格子は、TiS2単結晶を電気化学的に還元しつつ、キラルカチオンをカウンタカチオンとして挿入することで合成した。合成された超格子の構造はX線回折、透過電子顕微鏡による層間距離の増大、ラマン分光法による電子相の変化によって評価し、キラル分子の均一な挿入による超格子の作製が確認された。

結果と考察 / Results and Discussion

キラルTiS2超格子は、挿入したキラリティに応じてそれぞれアップスピン、ダウンスピンに対して90%を超える高いスピン偏極率を有しており、酸素発生反応においても顕著な触媒活性を示した。酸素発生反応における電流密度は、以前に報告したキラルMoS2触媒よりも約10倍の増加を示した。この高いスピン偏極率は、超格子内でのキラル分子多層膜に対する多重トンネリングプロセスによるものであると考えられる。更に本物質は室温から極低温までの全温度範囲で金属伝導性を示しており、スピントロニクスおよびスピン依存型電気化学反応における電極材料としての新たな可能性を示している。本研究は、キラル物質を利用したスピントロニクスおよびスピン依存型電気化学応用の分野における新たな道を開くものである。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、JST-創発的支援事業(JP-MJPR19T5)、JST-さきがけ(JPMJFR221V)、科研費(23KJ1294、20H05870および21K18894)、日立財団倉田奨励金、旭硝子財団、住友電気工業グループ、村田科学技術振興財団からの支援を受け行われた。また、研究の一部は、文部科学省ARIMプログラムによる支援によって行われた。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Zhiyun Bian, Chiral Van Der Waals Superlattices for Enhanced Spin‐Selective Transport and Spin‐Dependent Electrocatalytic Performance, Advanced Materials, 35, (2023).
    DOI: https://doi-org.kyoto-u.idm.oclc.org/10.1002/adma.202306061
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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