【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.26】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KU1035
利用課題名 / Title
カーボンナノチューブの新規分散剤の開発
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
質量分析/ Mass spectrometry,ナノカーボン/ Nano carbon,ナノチューブ/ Nanotube,コンポジット材料/ Composite material,高機能ハイドロゲル/ Highly functional hydrogel
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
白木 智丈
所属名 / Affiliation
九州大学大学院工学研究院応用化学部門(分子)
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
増子 隆博
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
カーボンナノチューブ(CNT)は高い機械的強度や優れた電子・熱の伝導性、近赤外域での光吸収・発光特性を示すことから、様々な応用分野での利用が期待されているナノ材料である。CNTは一般的な溶媒に不溶であるため、成型加工性の向上などを目的として分散剤を用いた溶媒への可溶化が行われている。分散剤には低分子や高分子など様々な化合物が用いられるが、近年では可溶化だけではなくCNTの構造(カイラリティ)や物性(半導体性・金属性)の違いに基づいた分離や精製も可能な高機能性分散剤の開発が注目を集めている。
本ARIM利用では、新規に合成するCNT分散剤の質量分析を目的として、MALDI-TOF-MS質量分析装置(Bruker、Autoflex max、KU-509)の使用方法のレクチャーを受けるとともに、参照サンプルの質量分析測定を行った。
実験 / Experimental
今回、測定サンプルとして、2,7-dibromo-9-hexylcarbazole(図1)を用いた。ターゲットプレートにはMTP 384 target plate polished steel BCを用い、マトリックス分子としてdithranol(図2)を選択した。2,7-dibromo-9-hexylcarbazoleとdithranolのクロロホルム溶液(約1 mg/mL)を等量混合してターゲットプレート上に滴下した後に、減圧乾燥をして質量分析を行った。検出はポジティブモードで行った。今回は測定操作のレクチャーを主目的としていたため、厳密なキャリブレーションは実施しなかった。
結果と考察 / Results and Discussion
測定マニュアルに従い、操作方法のレクチャーを受け、自身で測定条件設定ならびに測定操作が行えるようになった。図3に得られたマススペクトルを示す。m/z = 227に明瞭なシグナルが観測された。これはマトリックスとして用いたdithranolの分子量の計算値(Exact mass: 226)とおよそ一致した。一方で、他のシグナルはほとんど観測できず、2,7-dibromo-9-hexylcarbazoleに帰属可能なピークの検出に至らなかった。この要因として、サンプルとマトリックスとの混合がうまく行えなかったことなどが考えられる。今後サンプル調整条件を検討することで、目的物の検出・同定を行っていく。
今回のレクチャーで本装置を用いて質量分析を行う技術が習得できたことから、今後開発する分散剤の質量分析によるキャラクタリゼーションを行うことで、本材料開発を飛躍的に促進させることができると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 2,7-Dibromo-9-hexylcarbazoleの化学構造
図2 Dithranolの化学構造
図3 得られたマススペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本装置を使用するにあたり、使用方法のレクチャーとご助言を頂いた増子隆博氏に深く感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件