利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.05】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KU1025

利用課題名 / Title

複数のポリマー原料による複合材料の混合状態に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

赤外・可視・紫外分光/ Infrared/visible/ultraviolet spectroscopy,ナノ粒子/ Nanoparticles,コンポジット材料/ Composite material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

利光 史行

所属名 / Affiliation

滋賀医科大学 分子工学研究所 

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

柿田 有理子,増子 隆博,善 文比古

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-501:電子状態測定システム
KU-504:レーザラマン分光光度計装置群
KU-505:紫外可視近赤外分光測定装置装置群
KU-510:走査型プローブ顕微鏡装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

合成樹脂の高機能化を目指し、複数原料の混合によるハイブリッドポリマーの作製を行っている。組成や性質の近い樹脂同士は比較的容易に混和する一方で、主骨格の結合や特性が全く異なる場合は、たとえば親水性や疎水性などの違いにより、相分離を起こす。そのため、複数の樹脂原料を相溶させ、それぞれの特性を活かしながら複合化することはチャレンジングな課題である。本研究では、水素結合性を示し脂肪族骨格を有するポリマーと、疎水性で芳香族骨格のポリマーの複合化について検討した。この2種類のポリマーはそれぞれ粘度が高いため、メカニカルスターラーでの混練により、目視および光学顕微鏡による1000倍以下の低倍率では均一に混和しているように観察される。しかしながら、複合材料の構造や期待される物性の発現の解析には、より微細なスケールでの混合状態を知る必要がある。そこで、各ポリマーが異なる官能基を有していることを利用し、光学顕微鏡像よりも詳細な情報を得られる各種スペクトル測定機器のイメージング測定での分析を行った。

実験 / Experimental

ポリマー複合材料の各原料の混和度を調査するため、マイクロメートルスケールでの分解能を持つX線光電子分光イメージング測定(KU-501)、顕微赤外吸収スペクトルによるイメージング測定(KU-505)、顕微ラマンスペクトルによるマッピング測定(KU-504)を実施した。X線光電子分光イメージング測定では、1.56 µmの分解能で400x400 µm四方を走査して、窒素原子に由来する396 eVの波長での強度をマッピングする測定を行った。また、顕微赤外吸収スペクトルによるイメージング測定では、分解能6.25 µmで1,000x1,000 µm四方をスキャンしながら各点でスペクトル測定を行い、任意の結合に由来するピーク強度を色づけすることでイメージングの解析を行った。顕微ラマンスペクトルによるイメージング測定および原子間力顕微鏡での観察は、試料の信号強度や表面状態が測定に合わず、時間内で適切な測定条件が得られなかったため、断念した。

結果と考察 / Results and Discussion

X線光電子分光イメージング測定では、複数原料の混合手法の違いにより、マイクロメートルスケールでの原子分布に差が見られた。最も混和度の高いサンプルでは、観測範囲において窒素原子のピークが一様に観測され、複合材料内で均一な混和をしていることが示された。同様に顕微赤外吸収スペクトルによるイメージング測定でも、3,300 cm-1近辺に見られる窒素−水素結合に由来するピークの強度で解析を行ったところ、測定範囲全面で均一な強度が得られ、十分に混和していることが示唆された。赤外吸収スペクトルでは、試料厚さが影響して、指紋領域を含む1800 cm-1以下の領域で透過測定が行えなかったため、よりシャープなピークを用いたイメージング解析ができなかった。赤外吸収スペクトルの診断領域では他の結合に由来するブロードなピークが重なる可能性が有るため、今後、測定に供する試料形状を改善することで、より高精度なイメージング解析を行う予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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