利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KU1003

利用課題名 / Title

生分解性高分子薄膜の凝集状態と分解特性

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

ナノシート/ Nanosheet,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田村 隼太

所属名 / Affiliation

九州大学大学院統合新領域学府オートモーティブサイエンス専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

田中 敬二

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-510:走査型プローブ顕微鏡装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Polyamide 4 (PA4)は、主鎖骨格の隣接アミド基間の炭素数が4と少なく、高い加水分解性が期待されることから、環境負荷低減材料の一つとして着目されている。しかしながら、PA4の分解機構の理解はいまだ十分ではない。本研究では、水環境下におけるPA4薄膜の凝集状態が分解特性に及ぼす影響を理解することを目的とした。

実験 / Experimental

 試料として、数平均分子量60k、分子量分布指標2.0、ガラス転移温度353 KのPA4を用いた。PA4薄膜は、スピンコート法に基づき疎水化Si基板上に作製し、373 Kで12 h熱処理を施した。403 K、相対湿度100%RHで24 h湿熱処理を施すことで、PA4薄膜の加速分解試験を行った。湿熱処理を施したPA4薄膜は超純水で洗浄後、室温、真空下で乾燥させた。湿熱処理前後におけるPA4薄膜の表面形態は、原子間力顕微鏡(AFM)観察に基づき評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1.(a, b) は、湿熱処理を (a) 0 hおよび (b) 24 h施したPA4薄膜のAFM形状像である。Fig. 1.(c) は、AFM形状像 (b) における白線部分の断面プロファイルである。Fig. 1.(a)の形状像より算出した二乗平均面粗さ (RRMS) は1.3 nmであり、初期状態におけるPA4薄膜の表面は比較的平滑であった。一方で、湿熱処理を24 h施したPA4薄膜の表面には、高さが20 nm程度の突起状の凝集構造体が観察された。
Fig. 2. は、湿熱処理前後におけるPA4薄膜の断面プロファイルである。測定前に薄膜の一部を切除した。湿熱処理前後におけるPA4薄膜の厚さは、それぞれ約87および64 nmであった。この結果は、高温・高湿度な条件下で加水分解が促進されることでPA4薄膜の表面が分解されたことを示している。また、湿熱処理に伴うPA4薄膜の膜厚の減少とFig. 1.で示した凝集構造体の膜表面からの高さがほとんど一致した。これは、PA4薄膜表面において分解の進行が遅い箇所が凝集構造体として観察された可能性を示唆している。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1.  (a, b) AFM height images for PA4 thin films exposed to 100% relative humidity at 403 K for 0 and 24 hours.  (c) A cross-sectional view along white line shown in (b).



Fig. 2.  (a, b) Cross-sectional views for PA4 thin films exposed to 100% relative humidity at 403 K for 0 and 24 hours.  Before the measurements, the thin films were partially cut by a blade to quantify their thicknesses.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本成果は、国⽴研究開発法⼈新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(JPNP18016)の結果得られたものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. ⽥村隼太, 目代晴紀, 正⽊崇⼠, 田口浩然, 菊池貴子, 松野寿⽣, ⽥中敬⼆, “ポリアミド4薄膜の分子鎖凝集状態と海水分解特性”, 第72回⾼分⼦討論会 (香川), 令和5年9⽉
  2. Shunta TAMURA, Haruki MOKUDAI, Takashi MASAKI, Hironori TAGUCHI, Takako KIKUCHI, Hisao MATSUNO, Keiji TANAKA,“Aggregation States and Deradation Behavior of Polyamide 4 in Thin Films”, 2023 Kyushu U.- NTNU Joint Symposium (Taiwan), Nov/2023
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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