【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.05】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23JI0050
利用課題名 / Title
ミディアム合金ナノ粒子担持電極触媒の開発
利用した実施機関 / Support Institute
北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
イオン液体,燃料電池/ Fuel cell,電極材料/ Electrode material,ナノカーボン/ Nano carbon,ナノ粒子/ Nanoparticles,ナノチューブ/ Nanotube
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
津田 哲哉
所属名 / Affiliation
国立大学千葉大学工学研究院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
大島 義文
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
イオン液体はカチオンとアニオンのみで構成される常温で液体の塩であり、特異な物性を有することから様々な分野で利用されている。その一例として、イオン液体を反応媒体としたナノ粒子調製がある。この方法で得られるナノ粒子はイオン液体によって安定化されるため、ナノ粒子を安定化するための表面修飾剤は不要である1。我々はこの特徴を利用することで、簡便かつ大量に金属ナノ粒子担持炭素材料が合成できる方法を見い出した(イオン液体-熱分解法)2。この手法は、イオン液体、金属前駆体、炭素担体を反応管に入れ、加熱攪拌するだけのワンポットプロセスである。これを電極触媒への応用を志向したミディアムエントロピー合金ナノ粒子担持カーボンナノチューブの合成に適用する際に必要となる知見の収集に取り組んだ。
実験 / Experimental
金属前駆体にはPtなどのアセチルアセトナート錯体を用いた。試料の調製は、金属前駆体と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)をコック付き反応管に入れ、所定量のイオン液体(N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド([N1,1,1,3][Tf2N]))を加えて真空下で終夜攪拌したのち、窒素雰囲気下において加熱攪拌した。回収した試料は、TEMやXRD、HAADF-STEMなどによる材料評価を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
使用する前駆体が1種類の場合,MWCNTに担持される粒子の平均粒径は、多くの場合、3 ~ 10 nm程度であったが、例外的に220 nm程度と明らかに大きくなる金属種もあった。これは核成長プロセスが本研究で用いた他の金属前駆体とは異なることを示唆していると考え、種々の条件で同様の検討を行ったが、原因の解明には至っていない。EDX分析やXRD測定により、MWCNTに担持された粒子は金属前駆体が熱分解して担持された金属ナノ粒子であることがわかった。 上記の実験を通じて得られた知見から、粒径が数nmのミディアムエントロピー合金ナノ粒子が得られる可能性の高い前駆体の組み合わせを用いて、試料の調製を行った。TEM観察の結果、MWCNTにナノ粒子が担持されており、その平均粒径は3.6 nm(標準偏差: 1.6 nm)と比較的小さかった。このナノ粒子がミディアムエントロピー合金であるか否かを判断するためにXRD測定に加えて、STEMを用いたEDXマッピング、XPS分析を行ったところ、4つの金属元素が存在する合金ナノ粒子であることを強く示唆する結果が得られた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Figure. (a) HAADF-STEM image and (b-f) EDS mappings of the specimen prepared by IL-pyrolysis method with MWCNTs and four metal precursors. The elements are (b) carbon, (c) I, (d) II, (e) III, and (f) IV.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献
1. Y. Yao, T. Tsuda, T. Torimoto, and S. Kuwabata, Chem.
Rec., e202200274 (2023).
2. Y. Yao, R. Izumi, T. Tsuda, Y. Oshima, A. Imanishi,
N. Oda, and S. Kuwabata, ACS Appl. Energy Mater., 2, 4865 (2019).
謝辞
本研究の一部は、公益財団法人日本板硝子材料工学助成会の研究助成により行われました。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件