【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.05】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23JI0041
利用課題名 / Title
GC-MS装置を用いた試料分析における技術構築
利用した実施機関 / Support Institute
北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
質量分析/ Mass spectrometry,クロマトグラフ/ Chromatograph
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
江見 大樹
所属名 / Affiliation
東洋紡株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
宮里 朗夫
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
GC-MS装置を用いた試料分析において、E法による分析は大変メジャーであるが、EI法はフラグメントイオンの発生が多く、分子イオンが検出されにくい特徴がある。構造未知成分の詳細な構造推定には、分子イオンの検出による分子量の把握が効果的であると考え、より低エネルギーでのイオン化が可能なCI測定やLEI測定といった分析手法を取り入れていく必要があるとして検討している。JAIST保有のGC-MS装置はCIイオン源に対応しているということで、今回CI測定に関する知見を得るために、GC-MS装置およびポータブルパイロライザーを用いて試料分析を実施、技術習得を検討した。
実験 / Experimental
脂肪族系化合物や芳香族化合物の混合溶液(各100pm程度)をGC-MS装置にて300℃加熱条件で分析し、EI測定およびCI測定時に取得できるマススペクトル変化を観察した。また、ポータブルパイロライザーを用いてポリエチレン素材の熱分解測定(590℃加熱条件)を実施し、発生する飽和脂肪族炭化水素類を観測した。
結果と考察 / Results and Discussion
各試料のマススペクトルを取得し、分子イオン関連ピークの検出様の差異を観測した。脂肪族系ではEI、CIそれぞれで分子イオンの検出を確認した一方で、得られるフラグメントイオン情報に大きな差異は生じにくく、特に飽和炭化水素類(オクタン標品、ポリエチレン熱分解物)では違いが観測されにくいことがわかった。これに対して、官能基が結合したオクタノールやラウリン酸の分析ではEIで分子イオンが検出されにくく、CIでようやく分子イオン関連ピークが検出される結果となった。EIではイオン化ポテンシャルの高さ(イオン化のされやすさ)、CIではプロトン親和力の高さ(プロトン化のされやすさ)が影響しており、今回脂肪族系を測定した結果から、官能基の有無や極性などの違いがこれらの要素に作用して分子イオン検出可否が変化すると予想される。また、芳香族化合物(BPA、フタル酸エステル類)ではEIとCIで似たようなフラグメントパターンを得られたものの、分子イオン関連ピークの検出可否に違いがあり、EIで未検出のところをCIで検出可能なものがあり、分子イオンの検出、つまりは分子量把握に有用である兆しが見えた。また、フラグメントパターンを解析すると、各フラグメントイオン構造が異なっており、イオン化法ごとに分子の結合解離位置が変化するものと推測した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 クロマトグラム (EI測定)
Fig.2 クロマトグラム (CI測定)
Fig.3 混合溶液中成分のマススペクトル (EI測定)
Fig.4 混合溶液中成分のマススペクトル (CI測定)
Fig.5 フタル酸エステル類のマススペクトル (EI測定)
Fig.6 フタル酸エステル類のマススペクトル (CI測定)
Fig.7 ポリエチレン熱分解物のマススペクトル (EI測定)
Fig.8 ポリエチレン熱分解物のマススペクトル (CI測定)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件