利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.05】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23JI0023

利用課題名 / Title

ナノスケールギャップ素子を利用した表面増強ラマン散乱素子の開発

利用した実施機関 / Support Institute

北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

メタマテリアル/ Metamaterial,フォトニクス/ Photonics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

根岸 良太

所属名 / Affiliation

学校法人東洋大学理工学部電気電子情報工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

萩原 大河

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

赤堀 誠志,村上 達也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

JI-017:クリーンルーム微細加工装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ラマン散乱分光法はラベルフリーで簡便に標的タンパク質(分子)の同定を可能とするため、バイオセンサーへの応用が注目されている。検出されるラマン散乱光は極めて微弱であるため、表面増強ラマン散乱(SERS)効果によるシグナルの増強技術が必須となる。金属微粒子の二量体などで見られるナノスケールの溝(ナノギャップ)では、局所的な電場勾配によりSERS効果が顕在化する。そのため、SERS素子の開発ではナノギャップの精密な構造制御が必要となる。ナノギャップ素子はSERSデバイスの応用に向けて大変有効なツールである。実用化に向けては、(1)更なる高感度化、(2)スケーラブルな素子の形成技術の確立、が重要である。これまでの研究で自己組織化多層膜を利用した分子定規法の応用により数nmの極小幅のナノギャップ素子のスケーラブルな形成に成功し、SERS効果を明らかにした。そこで本実験では反射層としてナノギャップ素子の下にAgの反射層と保護膜となるTiO2層を追加することで更なる高感度を目指した。

実験 / Experimental

AgとTiO2の膜厚を調整することで素子の反射率、透過率を制御する。これら材料の成膜では、マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援を通して、北陸先端科学技術大学院大学のクリーンルーム微細加工装置群の反応性電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ装置を利用した。シリコン基板にAg、TiO2を成膜し、その上に分子定規法を用いて、ナノスケールの溝構造であるナノギャップ構造を有するSERS素子を作製した。作製したSRES素子のナノギャップ構造を走査型電子顕微鏡観察により評価し、顕微ラマン分光法(励起波長:514nm)によりSERS効果を検証した。

結果と考察 / Results and Discussion

入射光の波長が514nmとなるときの反射層を含んだSERS効果の測定とシミュレーションによる反射率・透過度との比較検討を行った。シミュレーションでは、光の波長が514nmに対して、Ag層を50nmと固定して、TiO2層が25, 150, 300nmで高い反射率を示した。この指針をもとに、SERS効果を実験的に検証した結果、いすれの膜厚においても、反射層の無い場合よりも高いSERS効果が得られた。さらに、この傾向はギャップ間隔がより狭い状況で顕在化することから、反射光がホットスポットによるSERSシグナル増強を効果的に誘起していることを明らかにした

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究を推進するにあたり、東洋大学バイオナノリサーチ(BNC)センターの支援をいただきました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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