利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT1288

利用課題名 / Title

プラズマ暴露による機能性材料の粘弾性特性および電気特性変化の研究

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

イオンエンジン,イオンフラックス,単結晶Si基板,表面変質層,イオンプルーム,ナノスケール相互作用,イオン照射効果,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

江利口 浩二

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

石井嶺

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-203:電子線蒸着装置
KT-104:高速マスクレス露光装置
KT-110:レジスト現像装置
KT-111:ウエハスピン洗浄装置
KT-259:深堀りドライエッチング装置(2)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

イオンエンジンは高比推力や高推進効率を有し,深宇宙探査用の推進や地球周回衛星の軌道・姿勢制御に用いられる.イオンエンジンから排出されるイオンプルームには推進性能を決定づける情報が含まれている.そのためイオンプルームを詳細に解析することがイオンエンジンの研究開発において重要となる.これまで我々はSiとイオンの間に生じるナノスケールレベル相互作用を活用した研究を行ってきた[1-3].単結晶Si基板にイオンを照射すると表面に変質層が形成される(イオン照射効果).この変質層膜厚は入射するイオンドーズ量や入射イオンエネルギーに依存する[4].本研究ではこのイオン照射効果を活用したイオンプルーム解析手法を新たに構築し,実験的にイオンプルームの空間的構造を捉えることを目指した. 

実験 / Experimental

Fig.1に本研究で使用したプラズマ発生チャンバーおよびイオン照射システムの概要を示す.上部チャンバーには誘導結合型Arプラズマを生成した.上下チャンバー接続部にはプラズマ源からイオンを引き出し加速させるグリッドと呼ばれる多孔状電極が用いられている.このグリッドは低抵抗単結晶Si基板に対し電子線蒸着装置[B03]でCrを蒸着させ,高速マスクレス露光装置[A04]でパターンを転写,その後深堀ドライエッチング装置[B59]によるBoschプロセスを行うことで作製した. グリッドおよび試料台に負の直流電圧を印加し,下部チャンバー内に設置した試料にイオンを照射した.試料には6×6 cm2に加工した低抵抗単結晶Si基板を用いた.グリッド-試料間距離L及び照射時間tを変えて実験を行った.入射したイオンフラックスΓの空間分布に応じてSi基板表面に形成される変質層を分光エリプソメトリー法により解析した.表面変質層の照射時間依存性からイオンフラックスΓを算出し,イオンプルームの空間的構造を予測した.

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.2に各地点におけるイオンフラックスΓの空間分布を示す.どのLにおいても中心部から周辺部に向かってΓは減少している.L = 55, 120 mmを比較すると,L = 120 mmでは中心部のΓが減少している.一方周辺部のΓはわずかに増加している.これはイオンプルームが正の発散角を持つことや衝突・散乱の効果によるものと考えられる.以上の結果より,グリッドから排出されたイオンプルームは下流に向かうにつれ広がっていることが確認でき,イオンプルームの空間的構造を実験的に捉えることに成功した.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 本研究に使用したプラズマ発生チャンバーおよびイオン照射システムの概略図



Fig.2 各地点におけるイオンフラックスΓ


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献:
[1]中村浩大ら: 第 62 回宇宙科学技術連合講演会,JSASS-2018-4725, 2018.
[2]武藤光矢ら: 第 64 回宇宙科学技術連合講演会,JSASS-2020-4510, 2020.
[3]曽束元喜ら: 第 65 回宇宙科学技術連合講演会,JSASS-2021-4361, 2021.
[4]T. Hamano et al.: Incident Ion Dose Evolution of Damaged Layer Thickness in Si Substrate Exposed to Ar and He Plasmas, Jpn. J. Appl. Phys., 57, 06JD02, 2018.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 石井嶺(M1),曽束元喜,占部継一郎,江利口浩二「単結晶Si基板上へのイオン照射効果を用いたイオンプルームの空間的構造解析」,第67回 宇宙科学技術連合講演会,2023年10月17日~10月20日,富山国際会議場・ANAクラウンホテル富山,4H02.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る