【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0070
利用課題名 / Title
Cuを担持したGa2O3光触媒材評価
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
Cuナノ粒子,光触媒,Ga2O3,液中プラズマ法,電子顕微鏡/ Electronic microscope,環境発電/ Energy Harvesting
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
小川 智史
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
小川智史,アジマ・アーリップ
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
CO2を代表とする温室効果ガスの排出規制目標を達成するためには、CO2の排出削減と併せてその積極的な有効利用技術を確立することが不可欠であり、その一つに人工合成によるCO2還元がある。CuやCu-InなどのCu基合金は電気化学反応によるCO2還元に高い活性を示すことから、これを半導体光触媒に担持することで同様の高い光触媒活性が見込める[1]。本研究はCuナノ粒子を表面清浄なナノ粒子が作製可能な液中プラズマ法(SPP)[2]によって作製し、これをバンドギャップが広く、高い酸化還元準位を有するGa2O3に担持することでCu/ Ga2O3光触媒材を作製する。Ga2O3表面上でのCuの担持状態および組成分析を種々の電子顕微鏡を用いることを目的として、研究を実施する。
実験 / Experimental
Cuナノ粒子はヒドラジンを電解質として用いた水溶液におけるSPPによって作製した。Cuナノ粒子が分散した水溶液中でGa2O3粉末を攪拌し、Cuナノ粒子の担持を行った。Cu/ Ga2O3試料を回収し、真空乾燥させたのちに一部をエタノール中に分散させ、支持膜付きマイクログリッド上に滴下することで透過電子顕微鏡(TEM)用試料とした。TEM観察に先立って、コンタミネーションの影響を抑えるために試料を真空デシケータ内で乾燥させ、イオンクリーナーで処理を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
図1にCu/Ga2O3を支持膜付きCuマイクログリッド上に分散させた試料の走査型透過電子顕微鏡(STEM)像を示す。STEM像のコントラストからはCuとGaを区別することはできないため、エネルギー分散型分光(EDS)測定によって得たEDSマッピング像を図1に示す。試料の構成元素の大部分を占めるGaとOのマッピング像は鮮明に確認できる。さらにCuに関しても同様に明瞭なマッピング像が得られているが、この試料中のCuの含有量は1 wt%程度である。図1の挿入図に示したEDSスペクトルを見てもCuがGaに比べて比較可能な程度存在しているように見える。この結果は、EDS測定において試料からのCu Kα線に加えて、マイクログリッドを構 成するCuからの特性X線も検出しているためである。そこで、マイクログリッドをMo製に変更して、同様に得たSTEM像とEDSマッピング像、EDSスペクトルを図2に示す。EDSスペクトルから、マイクログリッドの材質を変更することでCu Kα線の強度が著しく減少していることが見て取れる。EDSマッピング像のうち、GaとOの像は図1と変わらないが、Cuに関しては不明瞭な像となっており、担持量に対応した像となっている。Ga2O3表面上のCuの信号量はバックグラウンドより多いため、表面上に広くCuが分散していることが分かる。また、ところどころ50 nm程度の粗大な粒子が見えることから、Cuナノ粒子の生成時ないし担持の段階で肥大化したと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 支持膜付きCuマイクログリッドを使用して観察したCu/Ga2O3のEDSマッピングと特性X線スペクトル
図2支持膜付きMoマイクログリッドを使用して観察したCu/Ga2O3のEDSマッピングと特性X線スペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] M. B. Gawande et al., Chem. Rev. 116, 3722 (2016). [2] N. Saito et al., Thin Solid Films 518, 912 (2009).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件