利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS5031

利用課題名 / Title

溶液光化学反応の励起ダイナミクスの研究

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

溶液光化学反応


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

長坂 将成

所属名 / Affiliation

自然科学研究機構分子科学研究所光分子科学研究領域

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

上田正

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-227:蛍光分光
MS-228:紫外・可視・近赤外分光光度計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 本研究では、放射光から発生する軟X線とレーザー光を同期した時間分解軟X線吸収分光測定により、溶液中の金属錯体の光励起ダイナミクスや、ピレン溶液のエキシマー発光のダイナミクスを調べることを目的とする。ARIM利用により分子研機器センターの所有装置を用いて、可視紫外吸収分光測定と蛍光分光測定を行うことで、光化学反応やエキシマー発光が起こる励起波長を調べる。これにより、軟X線分光測定のための基礎データを取得することを目的とする。

実験 / Experimental

 分子研機器センターの可視紫外吸収分光装置を用いて、金属錯体溶液の励起波長を調べている。これにより鉄フェナントロリン水溶液における励起波長を明らかにした。また、ピレン溶液でエキシマー発光が起こる励起波長を調べるために、蛍光分光装置を用いた。これにより、異なる溶媒におけるピレンのエキシマー発光の励起波長を調べて、軟X線分光実験に用いる溶媒の検討を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 まず、鉄フェナントロリン水溶液の光励起ダイナミクスを調べるために、時間分解軟X線分光測定を行った。ARIM利用では、鉄フェナントロリン水溶液の可視紫外吸収分光測定を行うことで、軟X線分光実験で用いるフェムト秒レーザーの波長(515 nm)で、鉄フェナントロリン水溶液のMLCT遷移が起きることを確認した。次に、ピレン溶液のエキシマー発光過程を時間分解軟X線分光測定により調べた。ARIM利用では、蛍光分光測定を行うことで、異なる溶媒のピレン溶液において、それぞれの励起波長を明らかにした。それぞれの溶媒におけるピレンの溶解度や、レーザー励起波長などを検討した結果、1-プロパノールを溶媒とすることが最も精度良く軟X線分光測定を行えることを確認した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 分光測定を支援して頂いた分子研機器センターの上田正様に感謝します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Fumitoshi Kumaki, Operando time-resolved soft x-ray absorption spectroscopy for photoexcitation processes of metal complexes in solutions, The Journal of Chemical Physics, 158, (2023).
    DOI: 10.1063/5.0129814
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 長坂将成, “軟X線吸収分光法による溶液の化学現象の解明” 第130回触媒討論会, 令和4年9月20日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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