【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM5308
利用課題名 / Title
SOFCの集積化に向けた空気極等電極材料の設計とその解析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
長谷 正司
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
町田駿輔,須田聖一
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
服部晋也
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
海水中での電気分解を利用した水素製造のための電極としてNi-Fe系合金に注目し,その合成プロセスの最適化を進めている。この水素発生効率は合金中のNi/Fe比に大きく依存するが,このNi/Fe比がほぼ同程度であっても作製プロセスによって水素発生の挙動がことなることが示唆された。その理由として,①電極表面の凹凸による電荷集中による海水電解効率の局所的な促進,あるいは②電極表面の局所的な組成変化の可能性が考えられる。この理由を明らかにするために,ナノレベルの組成分布を走査型プローブ顕微鏡の一種である,磁気力顕微鏡(MFM)または表面電位顕微鏡(KFM)を用いて明らかにしたいと考えている。本実験では,MFMやKFMによる計測の前段階として原子間力顕微鏡(AFM)を用いてめっき法で生成した電極表面の凹凸状態を明らかにした。
実験 / Experimental
Ni-Fe基合金電極はめっき法により作製した。めっきを施す金属基板はNi及びSUS316を用いた。それぞれの金属基板上に適当な条件で電解研磨を行い,その電解研磨後の金属基板上に適当な組成となるようにめっきを行った。めっき浴温度は50 ℃とし,電流密度20 mA cm-2で30 minめっきを行った。錯化剤としてはクエン酸またはマロン酸を用いた。得られた電極の水素発生挙動は,自作の海水電解計測装置で調べた。また,得られた電極のNi/Fe比は蛍光X線により見積もった。
結果と考察 / Results and Discussion
様々なめっき条件でNi-Fe基合金電極を合成し,その電極を用いた際の水素発生挙動と表面状態との関係を検討した。めっき浴組成のFe/Ni割合を一定とすることで,合成条件によらずNi/Fe=0.25~0.27の範囲の合金電極が得られた。これらの表面状態をAFMで調べたところ以下のような知見が得られた。錯化剤によっても表面の凹凸構造は変化し,マロン酸を用いた方がより微細な凹凸構造が得られた。また,金属基板の表面状態がめっき後の凹凸に強く影響することがわかった。一例として電解研磨条件を変えて作製したNi基板上にマロン酸を錯化剤として作製した合金電極のAFM像をFig.1に示す。いずれのAFM像でもほぼ同じ位置に特異的な突起がみられているが,これは測定上のエラーの可能性を考えている。本測定からは,同一のめっき条件であるのにもかかわらず得られた表面状態が大きく異なることがわかった。めっき条件によって表面構造に変化を与えた場合では,ナノレベルの組成分布と表面構造とを分離することは困難であるが,電解研磨条件による表面構造の変化であれば,めっきプロセスは同一であるために,組成分布による違いは生じないことが予想させる。以上の結果より,Ni基板の表面状態を系統的に変化させることによって,上記仮説の①と②を検証できる電極を構築できることがわかった。今後,さらにNi-Fe基合金電極の作製条件と,AFMさらにMFM等を用いた解析によって水素発生に関わる表面状態(組成と構造)との関係を明らかにしていきたいと考えている。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1: Ni基板上にマロン酸を錯化剤として作製した合金電極のAFM像。同一のめっき条件であるのにもかかわらず得られた表面状態が大きく異なることがある。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件