利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23AT5063

利用課題名 / Title

CuIの陽電子消滅寿命測定

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

p型半導体、陽電子消滅寿命分光、空孔型欠陥、不純物添加効果


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

北浦 守

所属名 / Affiliation

山形大学 理学部 物理学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

満汐 孝治

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-501:陽電子プローブマイクロアナライザー(PPMA)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ヨウ化銅では銅空孔が主要な点欠陥であり、p型伝導の起源と考えられている。先行研究ではヨウ化銅に亜鉛を添加した場合にキャリア密度が減少すると報告された[M. Tsuji et al. ACS Appl. Mater Interfaces, 14 (2022) 33463-33471]。ヨウ化銅はノンドープであっても高いキャリア密度を示すため、そのキャリア密度を効果的に制御する方法論の確立が必要であった。そこで、亜鉛添加がキャリア密度に及ぼす影響を調べるためにノンドープおよび亜鉛ドープしたヨウ化銅における陽電子消滅寿命を陽電子消滅寿命分光装置を用いて決定した。密度汎関数理論に基づく第一原理計算によっても陽電子消滅寿命を理論的に計算した。

実験 / Experimental

ノンドープと亜鉛ドープしたヨウ化銅の焼結体を実験試料として用い、それらの陽電子消滅寿命分光スペクトルを測定した。測定時の時間分解能は約200 psであり600万カウントになるまで積算した。陽電子線源や装置に由来する応答関数を決定するためとバックグランドを決定するためにステンレス標準試料のPALSスぺクトルも測定した。バルク寿命の計算は第一原理計算プログラムABINITを用いて行った。CIFデータを初期構造として構造最適化を行った後、緩和構造においてバルク状態での陽電子消滅確率を算出し、そのバルク寿命を陽電子消滅寿命とした。また、銅空孔やヨウ素空孔などの点欠陥を含むスーパーセルで構造最適化を行って、緩和構造において欠陥状態での陽電子消滅寿命を算出した。導入した点欠陥位置で陽電子が対消滅するかを調べるために陽電子波動関数もまた可視化して調べた。
利用装置:
・陽電子プローブマイクロアナライザー(PPMA) 

結果と考察 / Results and Discussion

ノンドープヨウ化銅と亜鉛ドープヨウ化銅の陽電子消滅寿命分光スペクトルはぞれぞれ約297 psと約317 psの寿命成分が支配的であった。理論計算で見積もられた銅空孔の陽電子消滅寿命は291 ps(q=0)と310 ps(q=-1)であった。ここでqは理論計算時にスーパーセルに与えた電荷を示す。ノンドープヨウ化銅と亜鉛ドープヨウ化銅では銅空孔が支配的に存在することがわかった。先行研究と同様に、亜鉛ドープによってキャリア濃度が減少した。亜鉛が銅を置換することは蛍光X線ホログラフィーの実験から明らかにされた。亜鉛ドープによって銅空孔が減少してキャリア密度が減少したのか、あるいは亜鉛原子がドナーを形成して有効キャリア密度が減少したように見えているのか、2つの可能性があることがわかった。今後、陽電子消滅同時計数ドップラーブロード二ング法による測定を行う必要がある。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

科研費:学術変革領域研究(A)公募研究23H04094


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. M. Kitaura, K. Kimura, N. Happo, S. Watanabe, K. Michishio, H. Sekhar, K. Hayashi, M. Ishizaki, A. Ohnishi, 「Identification of zinc and vacancy sites in zinc-doped γ- CuI crystal by X-ray fluorescence holography and positron annihilation spectroscopy」International Conference on Complex Orders in Condensed Matter: Aperiodic order, local order, electronic order, hidden order (Oral presentation) 2023年9月(Evian, France)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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