【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.27】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1221
利用課題名 / Title
ナノ構造集積MEMSデバイスの研究 (原子層堆積Al2O3エレクトレット膜の開発)
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
Electret, Atomic layer deposition, Al2O3, Photoelectric effect, Surface-potential-modulation,CVD,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
磯野 吉正
所属名 / Affiliation
神戸大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
上杉晃生,井口慶人,安藤寛峻
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
高橋英樹
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-103:レーザー直接描画装置
KT-110:レジスト現像装置
KT-111:ウエハスピン洗浄装置
KT-205:プラズマCVD装置
KT-302:分析走査電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
半導体ナノ細線においては、表面ポテンシャルがキャリア移動度に及ぼす影響は無視できないことが知られている。我々の研究グループでは、これまでにSiCナノ細線コアシェル構造体の研究において、シェル層の誘電体材料および外部電場によって異なる表面ポテンシャルを与えた場合に、ピエゾ抵抗効果が変化することを報告してきた[参考文献1]。このことからシェル層の固定電荷密度を制御することで界面のキャリア濃度を変化させ、ゲージファクタの制御が可能となることが期待される。そこで本研究では、半導体ナノワイヤに適用可能な、任意の固定電荷密度を有するエレクトレット材料の開発を目指し、1.光電効果を応用した電子注入を用いた原子層堆積Al2O3エレクトレット膜の開発と、2.シリコン微細構造をAl2O3エレクトレット膜で被覆した時の電気伝導性変化の評価を実施した。
実験 / Experimental
原子層堆積のAl2O3薄膜製膜工程に光電効果を応用した電子注入を組み込み(図1)、Al2O3エレクトレット薄膜の持つ固定電荷密度の評価をQSCV法により行った。また、厚さ2 µm,幅200 μmのp型で低不純物濃度の単結晶シリコン薄膜の電気伝導性を、半導体パラメータアナライザを用いたI-V計測により評価し、Al2O3エレクトレット薄膜の有無が電気伝導性に及ぼす影響を評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
電子注入を組込むことで、Al2O3エレクトレット薄膜の負の電荷密度は,元の約-50 nC/cm2から-350 nC/cm2まで増大させることに成功した。図2は、p型で低不純物濃度のシリコン薄膜の電気伝導性変化の測定例である。Al2O3エレクトレット膜で表面を被覆した場合に電気伝導性が著しく増大することを実験的に示し、同膜がもたらす表面電位により界面の正孔蓄積層を誘起することで、半導体のキャリア移動度を制御しうることを示した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 光電効果を応用した電子注入を組み込んだ原子層堆積Al2O3エレクトレット膜の製膜工程
図2 Al2O3エレクトレット膜被覆によるp型Si微細構造の電気伝導性変化
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Yoshito Iguchi, Momoko Narasaki, Akio Uesugi, Koji Sugano, and Yoshitada Isono, “ELECTRETIZATION OF NANO-THICK AL2O3 FILMS DURING ATOMIC LAYER DEPOSITION”, The 22nd International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers 2023), Kyoto, Japan (2023).
- Yoshito Iguchi, Momoko Narasaki, Akio Uesugi, Hiroaki Honma, Koji Sugano, and Yoshitada Isono, “Atomic Layer Deposited Nano-thick Al2O3 Electret Films for Surface-potential-modulation of Carrier Transport in SiNWs”, 19th Annual International Symposium on Electrets (ISE19), Linz, Austria (2023).
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件