【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0352
利用課題名 / Title
基板再利用技術に向けたICP-RIEを用いたGeの異方性エッチング
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
化合物半導体/ Compound semiconductor, 光露光(ステッパ)/ Optical exposure (stepper), プラズマエッチング/ Plasma etching,太陽電池/ Solar cell,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
大島 隆治
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
范文博
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
川又彰夫
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-011:i線露光装置
AT-019:多目的エッチング装置(ICP-RIE)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体太陽電池では非常に高い効率と信頼性が実現されているが、高価な製造コストが課題であり、その応用先は宇宙、集光設備に限られている。製造コストのうち、基板コストが大きな割合を占めているため、基板再利用技術によるコストの大幅な低減が期待される。Ge基板は代表的なⅢ-Ⅴ族半導体材料であるGaAsと格子整合し、更に大口径ウェハーへの展開が容易であり量産性に適している。そのため、Ge基板のリサイクル技術を構築することで、Ⅲ-Ⅴ族太陽電池の高効率を保ちながら大幅なコストダウンを実現することが可能である[1][2]。 近年、Ge基板の再利用方法としてGON(Germanium-on-Nothing)技術[3]が注目されている。これは、Ge表面に微細な凹凸パターンをフォトリソグラフィ、ドライエッチングにより形成し、その後のアニール処理によってGe表面層直下にボイド層を形成させる技術である。このボイド層を利用してGe上に形成した太陽電池エピタキシャル膜を機械的に剥離し、Ge基板を再び結晶成長用の基板として利用することができる。本研究では、産総研ナノプロセンシング施設(AIST-NPF)の多目的エッチング装置(ICP-RIE)を利用し、Ge基板表面に微細パターンを形成するためのプロセス条件を検討した。特にGON技術を実現するには高アスペクト比の異方性エッチングが必要であり、反応性イオンエッチングと側壁保護膜形成を交互に行うボッシュプロセス(Bosch process)を検討した。
実験 / Experimental
2インチp-Ge(001)基板上にフォトリソグラフィ、真空蒸着を用いてNiをマスクとした直径4 mmの円形の開口部が周期的に配列したパターンを形成した。その後、ICP-RIE装置(NPF019, RIE-101iPHS-L)を用いてボッシュプロセスによるドライエッチングを行った。反応性イオンエッチング条件はSF6とArの混合ガスを用いてICPパワー、印加電圧、圧力、エッチング時間は480 W、25 V、10 Pa、5 sとした。側壁保護膜形成条件は同じくそれぞれ400 W、0 V、10 Pa、4 sとした。保護ガスとしてCHF3、またはC4F8とArの混合ガスの2種類のガスで実験を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 1とFig. 2は保護ガスにCHF3、C4F8とArの混合ガスを用いてエッチングしたGe基板の断面SEM像である。両者ともエッチングレートは0.1 mm/cycleである。CHF3の場合、開口部のみならずに側壁が著しくエッチングされ、Niマスク下までエッチング領域がが広がった。この時のアスペクト比は1. 8程度であった。一方、C4F8とArの混合ガスを用いた場合、アスペクト比が5.2までの異方性エッチングを実現した。この時の側壁エッチングは極めて小さいため、今後はさらにサイクル数を増やすことでのアスペクト比の向上を目指していく。一方で、本プロセス条件ではエッチング部内部に筋状の構造が形成されることから、さらに側壁の平滑性が優れたエッチング条件を検討する予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Plane-view and cross-sectional SEM images of etched Ge samples using CHF3 as protective gases.
Fig. 2 Plane-view and cross-sectional SEM images of etched Ge samples using C4H8/Ar mixture as protective gases.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献[1] M. Bosi, G. Attolini, Prog. Cryst. Growth Charact. Mater. 56, 146-174 (2010).[2] V. Depauw et al., Prog. Photovolt. 31, 1315-1328 (2022).[3] S. Park et al., Joule 3, 1782-1793 (2019). 謝辞本研究(の一部)は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号:JPMXP1223AT0352)の支援を受けた。 ICP-RIE装置の使用、プロセス条件に関して、AIST-NPFスタッフ川又彰夫様からの貴重なご助言をいただきました。厚く御礼申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 范文博,大島隆治,庄司靖,菅谷武芳,八木修平,矢口裕之,"III-V太陽電池の低コスト化に向けたGe基板再利用技術の開発" AIST太陽光発電研究成果報告2023(Web),令和6年2月
- 范文博,大島隆治,庄司靖,菅谷武芳,八木修平,矢口裕之,"基板再利用技術に向けたICP-RIEを用いたGeの異方性エッチング" 第71回応用物理学会春季学術講演会(東京),令和6年3月24日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件