【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0308
利用課題名 / Title
ナノカーボン薄膜の表面技術に関する検証
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
表面処理、膜加工・エッチング、カーボン薄膜電極,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,電子分光/ Electron spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
鎌田 智之
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
赤松 雅洋
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-074:エックス線光電子分光分析装置(XPS)
AT-018:反応性イオンエッチング装置 (RIE)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
水溶液中の極微量物質を電気化学的に測定するためには、電極の表面状態が非常に重要である。特に、測定対象が疎水性の場合は、親水表面での電極反応は起こりにくく、電極表面を疎水化する必要がある。しかし、同条件で表面処理を行っても組成・結合状態のバラつきが大きい場合、電気化学測定に大きな影響を与えることが考えられる。そこで、カーボン電極表面を同一条件でフッ素化した場合の電極表面の組成・結合状態のバラつきについて評価したので報告する。
実験 / Experimental
同じ成膜条件のカーボン電極複数用意し、反応性イオンエッチング(RIE)装置とCF4ガスを用いた疎水化処理を行った。RIE装置によるカーボン電極表面への疎水化処理は出力40 W、処理時間を30 secとした。表面処理前後のカーボン電極の組成・結合状態の解析にはX線光電子分光装置(XPS)を使用した。XPSの測定は単色化した線を用い、出力150 Wで組成分析では0~1500 eVの範囲を、結合状態解析ではそれぞれの元素の中心結合エネルギーからおよそ±40 eVの範囲の測定を行った。結合状態の解析にはガウスーロレンツ合成関数を用いた波形分離の結果を用い、特にカーボンの結合状態について詳細に検討した。
結果と考察 / Results and Discussion
各種カーボン電極の組成分析、結合状態解析の結果をFig 1 に示す。図中、1~4は異なる成膜日に同条件で成膜したカーボン電極に対して同じ条件で疎水化処理を行ったサンプルで、as-depoは疎水化処理を行っていない未処理のサンプルの結果である。未処理のサンプル(as-depo)からはフッ素は検出されず、その他の疎水化処理を行ったサンプルはF/C比、O/C比共に、非常にバラつきが小さく、再現性の高い結果が得られた。また、結合状態の解析結果も同様に再現性の高い結果となった。この結果は、電極表面が非常に平坦であり、フッ素が結合する部分であるsp2結合がナノサイズの微結晶で電極表面に均一に分散しているナノカーボン電極の特長を反映していると考えられる。これらのことから、疎水化処理を行った場合でも、バラつきが非常に小さいため電気化学特性に影響は非常に限定的と考えられ、検出ターゲットや測定溶液の僅かな違いを検出可能であることが明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 疎水化処理を行ったカーボン電極の組成比および結合状態
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] E. Kuraya et al., AnaChem 88 (2016) [2] A. Oda et al., ElecActa 197 (2016)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件