利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0335

利用課題名 / Title

モータ用鋼板の材料分析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

軟磁性材料,走査型透過電子顕微鏡,集束イオンビーム(FIB),電子顕微鏡/ Electronic microscope,パワーエレクトロニクス/ Power electronics,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage,集束イオンビーム/ Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

福﨑 智数

所属名 / Affiliation

ニデック株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

吉本 貴俊

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

森田真理

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-152:CADデータ連動3次元機能融合デバイス評価用前処理システム
UT-005:原子分解能元素マッピング構造解析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

アモルファス軟磁性鋼板は磁気的な損失が小さいことが特徴で、本材料をモータコアに適用することでモータのエネルギー損失の低減が期待される。モータのエネルギー損失のうち「鉄損」と呼ばれる損失は主に材料の組成や構造で決定されるパラメータであり、材料の選択によってモータ損失が大きく変化する。モータコアに適した材料を選定することを目的として、鉄損値の異なるアモルファス鋼板の材料組織と磁気特性の関係を調査した。

実験 / Experimental

アモルファス鋼板は鉄損値の異なる2種類の鋼板を使用した。ここで磁束密度1 T、周波数15 kHzにおける鉄損値が300 W/kg以上の鋼板を試料1、300 W/kg以下の鋼板を試料2とする。鋼板の厚さはいずれも20μmである。実験は鋼板の表面近傍の材料組織を観察し、各試料の表側と裏側の材料組織をそれぞれ観察した。観察用試料の加工は電子顕微鏡用試料作製装置FIB XVision200TBを用い、組織観察は原子分解能元素マッピング構造解析装置JEM-ARM200F Thermal FE(STEM SDD)を用いて、明視野像、暗視野像の観察と元素マッピングを行った。

結果と考察 / Results and Discussion

鋼鈑表面付近の組織観察を行ったところ、いずれの試料においても鋼板表面から5 nmの深さまで酸化相の存在が確認された。元素マッピングの結果(Fig. 1)からSiリッチな酸化相であることがわかる。アモルファス鋼板は溶融された金属を液体急冷して製造されるため、急冷時に生成した酸化被膜であることが考えられる。また、試料2は均一なアモルファス相のみで構成されるのに対し、試料1は鋼鈑表側のみに約100 nmの深さで、アモルファス中にランダムに生成する結晶化相が確認された(Fig. 2)。急冷時の冷却は鋼板裏側から開始されるため、表側はより結晶化が起こりやすい状態にある。結晶化相の電気抵抗はアモルファス相にくらべ低い[1]ため、試料1は鋼鈑全体の電気抵抗が低下し渦電流に起因する損失(渦電流損と呼ぶ)が増加する事が予想される。鉄損測定の結果では、試料1の鉄損値は試料2にくらべ100 W/kg程度大きいことから、鉄損値の違いは渦電流損の違いであることが考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Elemental mapping of amorphous steel sheet.



Fig. 2 Microstructure of amorphous steel sheet.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1]高原,良博, Fe-B-Si系アモルファス合金の構造緩和に関する研究, 九州大学博士論文, (1992)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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