利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TT0022

利用課題名 / Title

希土類遷移金属フェリ磁性体‐アンビポーラ伝導体接合におけるスピン電荷結合

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学 / Toyota Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,スパッタリング/ Sputtering,スピントロニクス/ Spintronics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

酒井 政道

所属名 / Affiliation

埼玉大学大学院理工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

:伊東輝大、佐藤圭、鈴木颯人

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

粟野 博之

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-002:多機能薄膜作製装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

スピン注入源に希土類遷移金属フェリ磁性体を使い、ソース電極からスピン注入して、YH2などの電子-正孔補償金属中に無損失スピン流を発生させて、ホール効果とハンル効果を観測する。ソース及びドレインの磁化の相対向きが、平行と反平行の場合で、ホール効果とハンル効果がどのような影響を受けるかに注目する。YH2などの電子-正孔補償金属に効率よくスピンを注入するために、TbやGdなどを含有した希土類遷移金属フェリ磁性体TbFe(Tb:Fe=33:67)やGdFeCo(Gd:Fe:Co=25:66:9)を電極として利用する。それら電極成膜プロセスを支援装置「多機能薄膜作製装置」を使って行う。

実験 / Experimental

合成石英ガラス基板上に、スピン注入ソースおよびドレイン電極の Gd25Fe55Co20 は RF マグネトロンスパッタリングによって、測定電極の Au 及びY (チャネル)は EB 法によってそれぞれ成膜した。 Yの水素化は、3%水素-97%アルゴン混合ガス雰囲気中で行った。外部磁場 (0.45 T)にてソース及びドレイン電極の磁化の向きを上向きに揃え, 逆向きの保磁力以下の外部磁場 (1 mT)を印加しながら, 交流電流(50 µA, 480 Hz)の下、 室温にて、ソース電極から22 μm離れた地点での横電圧(ホール電圧)測定を開始する。 測定開始 2 分後に、半導体レーザー (405 nm, 60 mW)をレンズによって集光し、アンビポーラ性金属YH2 に近接したソース電極に 1 秒間照射した(測定Aと云う)。また、ソース及びドレイン電極の初期磁化の向きを下向きに揃えて同様の測定を行った(測定Bと云う)。

結果と考察 / Results and Discussion

(測定A)ソース及びドレイン電極を上向きの平行磁化状態から反平行状態にした場合では、レーザー照射後抵抗値が 1.2 mΩ減少し,(測定B)下向きの平行磁化状態から反平行状態にした場合では、照射後抵抗値が 1.5 mΩ増加した. 上向きの平行状態と下向きの平行状態の差(3.1 mΩ)は, YH2チャネル中スピン流の反転に伴う逆スピンホール電圧の差である. 反平行磁化 (↑↓)の抵抗値が, 2種類の平行磁化配置 (↑↑と↓↓)の丁度半分であることから, 反平行磁化状態ではスピン流が発生せず, スピンバルブ効果が生じていることが分かった。このことから、今回と同じホールバー素子を使った我々の先行実験結果[1]は、確かに、Gd25Fe55Co20 からのスピン注入にもとづく、逆スピンホール効果であると云える。スピン注入源から22μm離れた地点で検出できていることは、YH2のスピン拡散長が数10μmであることを意味する。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:[1] K. Sato et al. , Phys. Scr. 98 (2023) 045912.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Yukihiro Koinuma, Long-distance spin communication via ambipolar conductor with electron–hole spin exchange interaction, Journal of Physics: Condensed Matter, 36, 135806(2024).
    DOI: 10.1088/1361-648X/ad17a5
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. フェリ磁性体GdFeCoの熱アシスト磁化反転にもとづく 平行・反平行磁化配置スピン注入, 鈴木 颯人, 伊東 輝大, 康 正道, 佐藤 圭, 増井 拓朗, 戸沢 遥哉, 酒井 政道, 後閑 伸彦, 花尻 達郎, 中村 修, 鷲見 聡, Sina Ranjbar, 粟野 博之, 長谷川繁彦, 第71回応用物理学会春季学術講演会 25a-P01-32 東京都市大学世田谷キャンパス 2024年3月25日
  2. 電子‐正孔スピン交換相互作用にもとづく非平衡スピン・電荷輸送と 長距離スピン伝送, 鯉沼 将大, 酒井 政道1, 長谷川 繁彦, 第71回応用物理学会春季学術講演会 25a-P01-31 東京都市大学世田谷キャンパス 2024年3月25日
  3. EB蒸着法によるフェリ磁性体GdxFe1-xの作製と アンビポーラ金属へのスピン注入, 康 正道, 伊東 輝大, 鈴木 颯人, 佐藤 圭, 増井 拓郎, 戸沢 遥哉, 酒井 政道, 花尻 達郎, 第71回応用物理学会春季学術講演会 25a-P01-8 東京都市大学世田谷キャンパス 2024年3月25日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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