利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TT0014

利用課題名 / Title

レーザー誘起異常ネルンスト効果の観測

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学 / Toyota Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,熱電材料/ Thermoelectric material,光学顕微鏡/ Optical microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

黒川 雄一郎

所属名 / Affiliation

九州大学システム情報科学研究院

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

粟野博之

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-021:偏光顕微鏡(青色レーザー照射可能)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

異常ネルンスト効果は金属磁性体に熱勾配を印加した時に熱勾配の方向と磁性体の磁化の方向に互いに直交する方向に電圧が発生する効果である。熱勾配方向と電圧方向が異なることから、従来のゼーベック効果を利用した熱電変換に比べ、異常ネルンスト効果を利用した熱電変換では、素子を非常に薄型にすることが可能である。今回の研究では、異常ネルンスト効果の新しい応用としてレーザー光を利用した熱励起と発電の観測を試みた。

実験 / Experimental

利用者が所属する研究室のスパッタリング装置を用いて、Co/Ni磁性金属多層膜を作製した。レーザー誘起異常ネルンスト発電素子の試作素子として、利用者が所属する大学のフォトリソグラフィ装置を用いて、磁性細線を加工により作製した。細線へ加工した試料に対し青色レーザー付き偏光顕微鏡を用いてレーザー光を照射した。その後、垂直方向の外部磁場を掃引することで異常ネルンスト効果の検出を試みた。

結果と考察 / Results and Discussion

まず、作製した試料のホール効果を観察したところ、試料は垂直磁気異方性を有していることが分かった。次に、偏光顕微鏡によるレーザー照射の顕微鏡画像と、垂直磁場掃引時における細線長手方向の異常ネルンスト電圧の測定結果をFig.1に示す。細線の横にレーザーを照射すると細線に対して横切る方向に熱勾配が生じる。これに対し、試料は垂直方向に磁化を有しているため、異常ネルンスト電圧は細線長手方向に生じる。電圧測定の結果、試料に対するレーザーの位置を、Fig.1(a)およびFig.1(e)の様に入れ替えると、出力される電圧の極性が逆転する。これは、熱勾配の方向が逆転するためである。したがって、レーザーによって誘起された異常ネルンスト電圧が検出できていることが分かった。また、Fig.1(c)の様に細線直上にレーザーを当てると異常ネルンスト電圧が生じない。これは、細線に対して横切る向きの熱勾配がなくなるためである。このように、レーザー光で異常ネルンスト電圧が励起できることが分かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1 (a), (c), (e) Optical microscope images of Co/Ni magnetic wire with laser spot. (b), (d), (f) Anomalous Nernst voltage VANE as a function of perpendicular magnetic field HZ corresponding to (a), (c), (e).


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

装置の使用にあたり、豊田工業大学 情報記録工学研究室 粟野博之教授、田辺賢士准教授、鷲見聡研究員のお世話になったことをここにお礼申し上げます。またこの研究は、JST ACT-X (grant number JPMJAX21K5) の支援もうけておこなわれたものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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