利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KU0055

利用課題名 / Title

温和なPFAS分解を実現する半導体ナノ結晶の光反応ナノ界面の解析

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

小林 洋一

所属名 / Affiliation

立命館大学生命科学部応用化学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

永井 邑樹,吉岡 大祐

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

前野 宏志

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-004:広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

パーフルオロアルキル化合物(PFAS)は幅広い分野で活用される実用材料である一方極めて難分解性の化合物であり、400℃以上の高温、高圧、強酸化剤などの過激な条件でしか分解しない問題がある。その中で、近年申請者らは、可視LED光と半導体ナノ結晶とを用いることにより、PFASを室温、常圧下で温和にフッ化物イオンにまで分解することに成功した。本研究では、反応効率をさらに向上させるため、具体的にナノ結晶のナノ界面が光反応に伴ってどのように変化するかを詳細に明らかにすることを目的とする。

実験 / Experimental

ナノ結晶表面に有機配位子(メルカプトプロピオン酸: MPA)が被覆された水溶性CdSコロイドナノ結晶を資料として用いた。可視光LED(405 nm)を照射前後の試料水溶液を親水処理済の銅材質のTEMグリッドに滴下し、十分に乾燥させた。九州大学の広電圧電顕(JEM-ARM200CF)を用いてナノ結晶を観測した。

結果と考察 / Results and Discussion

ナノ結晶は光照射前でも比較的会合しており、結晶面の詳細な議論は困難だった。光照射後にはナノ結晶は配位子が脱離して沈殿しており、それに伴い顕微鏡画像内でも粒子は強く会合していた。それぞれの像のCd, S, Fの元素マッピングを調べると、光反応後において、CdSナノ結晶に由来するCdとSが均等に分布する部分のほかに、Sのみが特徴的に観測される部分が観測された。光照射に伴って徐々にわずかにCdが溶出していることが別の実験からわかっており、このS元素の偏在は、CdS中のCdの溶出に伴う硫黄成分であることが示唆された。さらに、CdS上ではFが比較的均一に分布している一方、Sが偏在している部分ではFは全く検出されなかった。このことから、C-F結合分解反応は主にCdS表面で起こり、分解生成物であるS誘導体からの反応は主反応として寄与していないことが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


光反応前後のCdSナノ結晶のSTEM像および電子線回折。反応前後で結晶性は保持されていることがわかる。



光反応後のCdSナノ結晶のCd, S, Fの元素マップ。局所的にSのみが偏在する部分が存在し、その部分ではF元素が検出されていないことがわかる。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の実験を実施してくださった前野宏志博士に感謝申し上げる。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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