利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KU0048

利用課題名 / Title

下部マントル圧力条件でのブリッジマナイト多結晶体の大歪変形実験

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,集束イオンビーム/ Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

太田 健二

所属名 / Affiliation

東京工業大学理学院地球惑星科学系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

夏井 文凜

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

工藤 昌輝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-018:イオンビーム・電子ビーム複合型精密加工分析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

地球の最下部マントルには大規模S波低速度領域があり、その端において強い地震波異方性が地震波観測から確認されている。このような地震波異方性は鉱物の結晶方位選択配向(CPO)の発達が引き起こしている可能性がある。LLSVPでCPOの発達が生じる原因は沈み込んだスラブの核マントル境界での衝突やLLSVP内の上昇にともなうせん断変形によるCPO発達との関係が議論されており、LLSVPを構成すると予想される鉱物の定量的な変形実験を行い、それらの鉱物の変形特性(レオロジー)や変形によるCPO発達と地震波異方性の関連性を調べる必要がある。 本研究の測定試料であるブリッジマナイトは、下部マントルの主要構成鉱物のひとつで、高圧力下において結晶構造が安定状態を取る鉱物であり、常温常圧では準安定状態である。そのため、微細構造観察の際に電子線照射によって結晶構造が破壊されアモルファス化してしまう測定上の問題点があり、これまでブリッジマナイトの電子線後方散乱回折(EBSD)測定は困難であるとされてきた。近年、CMOSを取り入れた装置を用いてEBSD測定を行うことで、電子線によって試料の結晶構造が破壊される前に菊池線を検出が出来る可能性が議論されている。本課題では、最新のFIB-SEMである九州大学超顕微解析研究センターのデュアルビーム微細加工電子顕微鏡(Helios 5 UX)を用いて、これまで報告されていないブリッジマナイトのEBSD測定の条件探索を行った。

実験 / Experimental

高圧ねじり変形実験装置である回転式ダイヤモンドアンビルセルを用いて高圧力下で変形したブリッジマナイト多結晶体のEBSD測定を行った。予備測定用の試料はタングステン板に埋没した直径100 μm、高さ-50 μmの円柱状のブリッジマナイト(Mg0.78Fe0.13Al0.11Si0.94O3.03)多結晶体である。試料はダイヤモンドアンビルセルを用いて46 GPaの圧力に加圧した後ねじり変形実験を行い、試料縁部分で歪量11.83のものを測定した。試料は別機関の集束イオンビーム(FIB)を用いて円柱体試料の縁部分含む角柱状に切り出し、銅製のFIBメッシュ上に配置した。試料準備後、ARIM共同利用設備であるデュアルビーム微細加工電子顕微鏡(Helios 5 UX)を用いて試料のSEM像取得、FIBによる測定箇所の試料研磨、試料研磨面のEBSD測定を試みた。

結果と考察 / Results and Discussion

EBSD測定はデュアルビーム微細加工電子顕微鏡(Helios 5 UX)の1回の機器利用で、1試料に対して実施した。デュアルビーム微細加工電子顕微鏡(Helios 5 UX)はSEM-FIBのデュアルシステムの電子顕微鏡であり、FIBの機能を用いて試料の研磨を行い、SEMの機能を用いて試料のSEM像の取得およびEBSD測定を行った。試料にFIB加工によるダメージが加わらないよう、加速電圧および照射電流値を調整し試料研磨を行ったが、本研究では試料研磨面の菊池パターンの安定的な取得条件の決定には至らず部分的な菊池パターンを取得した。今後は本測定の条件を詳細に検討した上で、測定条件を変更してさらに測定条件の探索を行う。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援(課題番号:23KU0048)を受けて実施された。 東真太郎様と安武正展様の助言、工藤昌輝様のSEM・EBSD分析の技術支援に深く感謝します


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る