【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.02.20】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KU0045
利用課題名 / Title
BaTiO3ナノキューブ集積体に関する研究
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
強誘電体材料・デバイス/ Ferroelectric materials
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
安井 久一
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所 中部センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
麻生亮太郎
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KU-016:低温域観測型・高分解能電子顕微鏡
KU-018:イオンビーム・電子ビーム複合型精密加工分析装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
チタン酸バリウム(BaTiO3)は、ペロブスカイト型構造の典型的な強誘電体であり、積層セラミックコンデンサなど様々な電子デバイスへの応用研究が進められている。近年、BaTiO3 ナノ結晶の集積化技術の開発が進み、その材料特性として、結晶歪みの勾配に比例して電気分極が生じるフレクソエレクトリック効果が注目されている。実際に、BaTiO3 ナノ結晶集積体の高誘電率とフラットな温度依存性が、歪み勾配によるフレクソエレクトリック分極により生じることが理論解析により示されている[1, 2]。本研究では、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)を用いて、BaTiO3ナノ結晶単層膜[3]の構造解析ならびに電子状態・組成分析を実施した。
実験 / Experimental
BaTiO3ナノ結晶集積体単層膜は、水面に集積させたナノ結晶をTEMグリッドに転写し[3]、酸素雰囲気下で焼結させて作製した。高角度環状暗視野(HAADF)-STEMによる結晶構造解析、ならびに電子エネルギー損失分光法(EELS)による電子状態解析を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
HAADF像から、各BaTiO3ナノ結晶は一辺が約15 nmの立方体で、欠陥のない単結晶であることがわかった。また、ナノ結晶の歪みマップを作成すると、1~3単位胞幅の表面領域の格子間隔が、内部の格子間隔よりも平均して1%程度大きいことが示された。特異的な格子の伸びが見られた表面近傍について、EELSによる電子状態・組成分析を行った。Ti L2,3-edgeスペクトルから、表面近傍ではTi4+がTi3+近くまで還元しており、元素分析からBaの割合が減少して相対的にTiの割合が大きくなっていることがわかった。今後、ナノ結晶中に導入された歪みの起源とフレクソエレクトリック効果との関係性を明らかにする。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献[1] K.Yasui H.Itasaka, K.Mimura, and K.Kato, J. Phys.: Condens. Matter 32, 495301 (2020).[2] K.Yasui H.Itasaka, K.Mimura, and K.Kato, Nanomaterials 12, 188 (2022).[3] H. Itasaka, K. Mimura, and K. Kato, Nanomaterials 8, 739 (2018).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 宮嵜裕明,麻生亮太郎,板坂浩樹,三村憲一,安井久一,村上恭和,走査型透過電子顕微鏡法によるBaTiO3ナノ結晶の構造・組成解析,2023年度 日本金属学会九州支部 日本鉄鋼協会九州支部 軽金属学会九州支部 合同学術講演会,2023年06月10日
- 宮嵜裕明,麻生亮太郎,板坂浩樹,三村憲一,安井久一,村上恭和,Structural Analysis of BaTiO3 Nanocrystals using Scanning Transmission Electron Microscopy,IMC20(The 20th International Microscopy Congress) Satellite Symposium,2023年09月08日
- 宮嵜裕明,麻生亮太郎,板坂浩樹,三村憲一,安井久一,村上恭和,BaTiO3ナノ結晶のSTEM構造解析,第38回分析電子顕微鏡討論会,2023年12月01日
- 宮嵜裕明,麻生亮太郎,板坂浩樹,三村憲一,安井久一,村上恭和,高分解能STEMによるBaTiO3ナノ結晶の局所構造解析,第65回日本顕微鏡学会九州支部学術講演会,2023年12月09日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件