【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.10】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KU0034
利用課題名 / Title
ニトリルの水素化に活性な触媒の粒径と合金状態の解析
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
触媒,電子顕微鏡/ Electronic microscope,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
西田 吉秀
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学先進セラミックス研究センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
鳥山 誉亮
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ニトリルの水素化は化学品合成に重要な1級アミンを原子効率100%で与える反応であり,本反応を促進させる触媒の開発が求められている.既報の触媒は反応の駆動に加熱や加圧を要するが,我々はジルコニア(ZrO2)にパラジウム(Pd)を担持した触媒が本反応を常温常圧で駆動させることを見出した.ラボにおけるガス吸着実験では,ZrO2上でPdが高分散化(小粒径化)することで触媒活性が向上したことが示唆された.一方,本実験ではガスが「Pd以外へ吸着する」や「Pdに1:1で吸着しない」などの理由により,Pd粒径を正確に見積もることが難しい.そこで本研究課題では,高分解能電子顕微鏡を用いてZrO2に担持されたPdの粒径を同定/定量することを目的とした.
実験 / Experimental
Pd/ZrO2の調製には含浸法を用いた.ZrO2粉末にPd塩水溶液を含浸し,乾燥後試料を焼成および水素処理した.観察用グリッドの作製には溶液分散法を用いた.メノウ乳鉢で粉砕した触媒粉末をエタノールに分散させ,これをグリッドに滴下し,十分に乾燥させた.
結果と考察 / Results and Discussion
STEMモード観察では,ZrO2上にコントラスト差のある球状粒子が点在しており,EDS分析から球状粒子がPdのナノ粒子であることが同定された.そこで,高倍率(5M)での観察像を多数取得し,200個のPd粒子の直径から平均粒径を見積もったところ,1.9±0.4 nm であることが分かった.一般には,小粒径化(特に,5 nm以下)で反応場である表面露出原子の数が増大することから,Pd/ZrO2がニトリルの水素化に高い活性を示したと考えられる.また,小粒径化されることでPdが反応ガスである水素によって還元されやすくなり,大気下での触媒仕込時に生成する不活性なPdOが減少することで,触媒活性が向上したことがin-situ XAFS分析との相補実験により明らかとなった.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
電子顕微鏡観察には,九州大学超顕微解析研究センターの鳥山様に技術協力をいただきました.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 岸本真明,西田吉秀,羽田政明,”ジルコニア担持パラジウム触媒を用いたニトリルの選択水素化による1級アミン合成”第132回触媒討論会(札幌),令和5年9月13–15日
- 西田吉秀,羽田政明,”合金触媒によるニトリル水素化の選択性スイッチング”第53回石油・石油化学討論会(大阪),令和5年10月26–27日
- 西田吉秀,岸本真明,羽田政明,”金属酸化物担持パラジウム触媒のニトリル水素化特性”2023年度日本セラミックス協会東海支部学術研究発表会(名古屋),令和5年12月2日
- 西田吉秀,羽田政明,”Rh-Pd-Pt触媒によるニトリルの水素化と反応選択性のスイッチング”第132回触媒討論会(札幌),令和5年9月13–15日
- 岸本真明,西田吉秀,羽田政明,”ジルコニア担持パラジウム触媒による常温常圧下でのニトリルの選択水素化”第33回キャラクタリゼーション講習会(名古屋),令和5年12月20日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件