【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KU0009
利用課題名 / Title
結晶構造制御された金属ナノ粒子の原子分解能構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
草田 康平
所属名 / Affiliation
京都大学白眉センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
向吉 恵
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
鳥山 誉亮
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KU-004:広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡
KU-016:低温域観測型・高分解能電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
殆どの金属はbcc、hcp、fccの三つの相のうち一つの相を有する。原子配列(構造)が異なれば同種の元素でも電子状態・物性は異なるが、多くの元素は融点まで単一相であり、人類は未だ三次元の原子配列を自在に制御できないため、その相(結晶構造)を意のままに操ることはできない。我々は液相還元法により、原子配列を制御し、バルクでは存在しない相(結晶構造)を有する新規金属ナノ粒子を世界に先駆けて独自に設計・開発することに成功してきた。本課題では、新たに開発されるナノ粒子の結晶構造を原子レベルで観測することを目的とした。XRDやXPSなどにより、マクロな試料の構造は特定できるが、原子レベルでの元素の配列および構造決定は困難であり、九州大学超顕微解析研究センターが所有する電子顕微鏡観察により観測可能となる。また、構成元素が多くなるにつれEDS分析が困難になるため、EDSを2台搭載したJEM-ARM200CFは本研究に最も適した装置である。原子レベルでの構造解析は、目的物性に対して重要な見解を与え、更なる材料開発の道筋を標すことが可能となる。
実験 / Experimental
合成したナノ粒子はエタノールを加え超音波で十分に分散させた後、グリッドに乗せ観察を行った。広電圧電顕(JEOL JEM-ARM200CF)による、HAADF-STEMおよび元素マッピングを主に用い、原子レベルでの構造解析を行った。また、必要に応じて他の装置の使用も検討した。
結果と考察 / Results and Discussion
合成したナノ粒子の原子分解能観察に成功し、その結晶構造を解析することに成功した。また、HAADFの輝度プロファイルにより、3d元素と4元素の原子レベルでの配列の解析にも成功した。これはEDSによる元素マップの結果とも一致した。更に、金属ナノ粒子だけではなく、酸化物ナノ粒子の分析にも成功した。酸化物も同様に原子分解能でのHADDF像撮影に成功し、その結晶構造解析に成功した(図1)。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1:ペロブスカイト型酸化物ナノ粒子の原子分解能HAADF像
図1:ペロブスカイト型酸化物ナノ粒子の原子分解能HAADF像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Shota Hanabata, Denary High-Entropy Oxide Nanoparticles Synthesized by a Continuous Supercritical Hydrothermal Flow Process, Journal of the American Chemical Society, 146, 181-186(2023).
DOI: 10.1021/jacs.3c07351
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Shinya Okazoe, Molybdenum–Ruthenium–Carbon Solid-Solution Alloy Nanoparticles: Can They Be Pseudo-Technetium Carbide?, Journal of the American Chemical Society, 145, 24005-24011(2023).
DOI: 10.1021/jacs.3c06594
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Hiroki Minamihara, Continuous-Flow Chemical Synthesis for Sub-2 nm Ultra-Multielement Alloy Nanoparticles Consisting of Group IV to XV Elements, Journal of the American Chemical Society, 145, 17136-17142(2023).
DOI: 10.1021/jacs.3c03713
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件