【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.10】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KU0002
利用課題名 / Title
機能性材料の微構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
ペロブスカイト型酸化物,ナノキューブ,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
中島 光一
所属名 / Affiliation
茨城大学大学院理工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
鳥山 誉亮,工藤 昌輝
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KU-004:広電圧超高感度原子分解能電子顕微鏡
KU-016:低温域観測型・高分解能電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ペロブスカイト型構造をとるチタン酸バリウム(BaTiO3)は強誘電体としての性質を有し、積層セラミックコンデンサなどの電子セラミックスとして利用されている。誘電体材料としての性能向上(誘電率の向上)のためにBaTiO3ナノキューブを利用した材料開発に関する研究が進められている。BaTiO3は一般に1000℃以上の焼成による固相反応によって合成しているが、このときは高温による粒成長によってナノキューブ化は難しい。そこで本研究では、原子レベルから粒子を構築することができるボトムアップ型アプローチのソルボサーマル法を用いてBaTiO3ナノキューブを合成した。このBaTiO3ナノキューブの粒子表面はチタンカラムによる表面再構成が存在していることを明らかにしており、このチタンカラムは酸化チタンの相であると考えている。この粒子表面を形成している酸化チタンを原料と見立てて、カルシウムまたはストロンチウムと反応させてチタン酸カルシウム(CaTiO3)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の形成を目指した。すなわち、コアはBaTiO3、シェルはCaTiO3またはSrTiO3のコア-シェルナノキューブの作製である。
実験 / Experimental
ソルボサーマル法を用いてBaTiO3ナノキューブの合成を行った。その後、水熱法を用いてBaTiO3-CaTiO3およびBaTiO3-SrTiO3コア-シェルナノキューブを作製した。得られた生成物のキャラクタリゼーションはX線回折測定や電子顕微鏡観察などを実施した。ARIM(九州大学)では球面収差補正付き電子顕微鏡(JEM-ARM200CF)を用いてHAADF-STEMおよびABF-STEM観察を行った。また、元素分析にはエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
BaTiO3ナノキューブの表面再構成の元素分析は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いてきたが、この度のカルシウムおよびストロンチウムの元素分析はEDXを用いた。はじめに生成物のHAADF-STEMおよびABF-STEM観察を行い、粒子表面の原子配列を確認した。つぎに、EDXライン分析およびEDXマッピングを行って、粒子表面を構成する元素を可視化した。その結果、BaTiO3-CaTiO3およびBaTiO3-SrTiO3コア-シェルナノキューブの生成を確認した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Kouichi Nakashima, Synthesis of BaTiO3–CaTiO3 and BaTiO3–SrTiO3 Core–Shell Nanocubes via the Surface Reconstruction of BaTiO3 Nanocubes, Inorganic Chemistry, 63, 44-49(2023).
DOI: 10.1021/acs.inorgchem.3c02935
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 中島光一、高濱光、日本セラミックス協会第36回秋季シンポジウム、2023年9月
- 中島光一、吉田樹雄、無機マテリアル学会第147回学術講演会、2023年11月
- 西井敦紀、小林芳男、中島光一、第34回日本化学会関東支部茨城地区研究交流会、2023年12月
- 中島光一、山梨大学第14回クリスタルセミナー(依頼講演)、2023年11月
- 中島光一、小名木海飛、日本セラミックス協会第48回学術写真賞 特別賞、2023年7月
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件