利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT1192

利用課題名 / Title

プラズマ物理学とナノ工学の融合による極限物質科学への挑戦

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

水素・ホウ素核融合,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

松井 隆太郎

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院エネルギー科学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

岸本泰明,林直仁

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

海津利行,井上良幸

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
KT-218:レーザダイシング装置
KT-228:電子線蒸着装置(2)
KT-235:深堀りドライエッチング装置(2)
KT-325:卓上顕微鏡(SEM)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、高強度磁場で支配される新しい極限物質状態の実現と水素・ホウ素核融合を含む新領域の応用研究の展開を目的とする。具体的には、集光強度が1020-22 W/cm2を実現する近年の極限レーザー技術、㎚ー㎛オーダでの精緻な物質のデザインを可能にするナノ工学・エッチング技術を融合することで、10-100 キロテスラ(kT)の超高強度磁場生成を伴うギガからテラバール(109-12 bar)領域の制御された高エネルギー密度プラズマの生成とプラズマの自己組織化機能を利用した慣性時間を越えての閉じ込め状態の実現・検証に挑戦する。この目的に沿って、シミュレーションにより得られたターゲットのデザインを基に、直径がサブ㎛で高さが数10 ㎛の高アスペクト比の円柱状ケイ素が多数配列した物質(ロッド集合体)を作製した。

実験 / Experimental

レーザーダイシング装置によりシリコンウエハから30 mm角に切り出したシリコン基板に、厚膜フォトレジスト用スピンコーティング装置を用いてポジ型レジストを塗布した後、大面積超高速電子ビーム描画装置を用いて電子線リソグラフィーにより基板上にパターンを描画した。電子線蒸着装置を用いてクロムの蒸着を行った後、リフトオフを実施した。技術職員のアドバイスのもと、主要な工程の前にウエハスピン洗浄装置による洗浄とスピン乾燥、180℃のベイキングを実施し、深堀りエッチング時の(水分由来の)黒スミの防止を目指した。最後に、深堀りドライエッチング装置によるシリコンのプラズマエッチングを実施してロッド集合体を作製した。卓上顕微鏡(SEM)を併用して、ターゲットの状態を観察しながらエッチングパラメータを調整した。

結果と考察 / Results and Discussion

今回初めて「ポジ型レジスト」を用いた作製工程に挑戦した。レジストを変更したことで、電子線リソグラフィーにおけるdose量についての条件出しが必要であったが、技術職員のアドバイスの下、最小の条件出しで適切なパラメータを同定できた。技術職員のアドバイスのもと、深堀り前のデスカム処理に加え、リフトオフ後ベイキング温度を180℃・時間を5分に伸長することで、深堀りエッチング後の黒スミを回避することができた。これにより、デスカム処理とベイキング時の温度・時間が黒スミ回避に有効であることが確認できた。今回作製したロッド集合体を図1に示す。直径1.0 umで高さ25 umの円柱状ケイ素(シリコンロッド)が、60 um×60 umの領域に空間充填率約0.2で格子状に配置されている。 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.今回作製したロッド集合体(電子顕微鏡写真)。直径1 umで高さ25 umのシリコンロッドが2 um間隔で格子状に配置されている。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 松井隆太郎,林 直仁,金銅亮弥,松田一成,升野振一郎,橋田昌樹,阪部周二,時田茂樹,岸本 泰明, 「レーザー駆動高エネルギー密度バルクプラズマの生成・制御に向けたCNTターゲットの異方性の検証と新機能の創出」(口頭),レーザー学会学術講演会第44回年次大会,日本科学未来館(東京),2024年1月19日.
  2. 松井隆太郎,林 直仁,金銅亮弥,松田一成,升野振一郎,橋田昌樹,阪部周二,時田茂樹,岸本 泰明, 「高強度レーザー照射された微細構造ターゲットのマルチスケールのエネルギー輸送と長時間膨張・緩和ダイナミクス」(口頭),第40回プラズマ・核融合学会年会,アイーナ・いわて県民情報交流センター(盛岡),2023年11月27日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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