利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.07】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23GA0035

利用課題名 / Title

EBリソグラフィ用薄膜基板に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

香川大学 / Kagawa Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

微細化,デバイス,3次元化,電子線リソグラフィ/ EB lithography


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

長岡 史郎

所属名 / Affiliation

香川高等専門学校

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

GA-001:電子線描画装置
GA-003:スピンコータ-


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 電子線直接描画(EBリソグラフィ)は、最も高解像度が得られ、かつレジストなどの材料やプロセス技術が全て整っている極微細加工方法であるが、電子線の後方散乱により解像度が低下するのが問題である。最先端の解像度である数nmの解像度を実現するためには、この後方散乱を排除する必要がある。これを実現するため、耐薬品性が高く熱的に安定な窒化シリコン(Si3N4)薄膜を薄膜基板材料に用いることを提案している。本研究では、基板の差による極微細パタン作製時の問題点を抽出するため、実際のデバイス作製でよく基板材料となる絶縁膜のシリコン酸化膜(SiO2膜)を基板に用い、現在の描画条件で1µmから100µmのLine&Spaceパタンを描画現像処理し、その時の描画パタンを観察し課題を調べた。実験の結果、5µm以下は目的通りのパタンが得られたが、5µmから10µmでSpace上に近接効果によると思われる“かぶり”が発生し、この現象は10µmで最も顕著に表れることがわかった。これはパタンが微細になるとDose量を増やすことが必要であること、“かぶり”の影響は、線幅に比例するのではなく最大になる寸法があることがわかった。これは薄膜基板上に極微細パタンを描画する上で必要になる定量的考察の知見として有用であることがわかった。

実験 / Experimental

 Fig.1にEB直接描画による、微細パタンの描画現像プロセスの概要を示す。後方散乱と近接効果の影響を調べるため1µm~100µmのLine&Spaceパタンをフォトマスクブランクス上に作製した。基板の材質やパタン形状により、描画と現像の最適条件は異なるが、比較のため描画現像条件は一定とした。基板やパタン寸法の差及び基板からの後方散乱や近接効果により電子線レジストの解像状況がどう変化するかを定性的に把握するため、光学および電子顕微鏡で観察、評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

 Fig.2に描画現像結果を示す。現像直後(a)では、全ての線幅のパタンは解像できているように見えるが、線幅によりエッチングできない部分(Aで示す領域)が生じていることがわかる。各プロセスにおけるA領域の概要を断面図で(c)の(1)、(2)、(3)のB、C、D図で示す。レジストを分解するエネルギー(Dose量)は、照射エネルギーと前方及び後方散乱エネルギーの総和である。5µm以下の微細パタンの場合、前方散乱と後方散乱が他の領域より少ないため、実際のDose量は少なくなるので、適正なDose量となる。一方、それに比べAでは前方散乱と後方散乱による過度なエネルギー(“かぶり”)が加わるので、B、C、Dのような残渣が生じたと考えられる。適正な露光量を見いだしnmサイズの極微細加工を実現するには、かぶりのエネルギー量とパタン形状及び描画条件の関係をこれらの実験結果をもとに定量化し明らかにすることが重要であることがわかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 EB直接描画のプロセス図



Fig. 2 EB直接描画で作製した微細パタン


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

実験を進めるのに際し理論的アドバイスを頂いた下川房男先生、成膜実験のご指導を頂いた支援員の皆様に感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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