利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23QS0103

利用課題名 / Title

核共鳴散乱を用いた混合原子価鉄酸化物の電荷秩序配列の検証(3)

利用した実施機関 / Support Institute

量子科学技術研究開発機構 / QST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

放射光/ Synchrotron radiation,メスバウアー分光/ Mossbauer spectroscopy,量子効果/ Quantum effect


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中村 真一

所属名 / Affiliation

帝京大学理工学部リベラルアーツセンター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

下村 晋

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

三井 隆也,藤原 孝将

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

QS-111:放射光メスバウアー分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

放射光メスバウアー4軸回折計を用いて,混合原子価酸化物Fe3O4のフェルヴェー転移における電荷秩序配列に関わる測定を試みた。今回は,57Feエンリッチ単結晶を用い,禁制反射200からの純核ブラッグ散乱[1]を用いてBサイトのみのスペクトルを低温で測定した。入射γ線を100μm程度サイズのマイクロメスバウアービームとした。フェルヴェー点以下単射晶領域の85 Kでは,ロッキングカーブの測定位置によって異なるFe3+的,Fe2+的反射スペクトルが得られた。

実験 / Experimental

実験は,BL11XUに立ち上げた放射光メスバウアー4軸回折計を用い,各所に遮蔽を施した高感度配置にして行った。測定試料は,57FeエンリッチFe3O4単結晶を用い,入射γ線は100μm程度サイズのマイクロメスバウアービームとした。立方晶での禁制反射200を用いて,純核ブラッグ散乱によるBサイトのみのスペクトル測定を85 Kで実施した。低温測定は,回折用液体窒素クライオスタット用いた。

結果と考察 / Results and Discussion

 Fig.1 には,85 Kにおける57FeエンリッチFe3O4の単射晶004/220反射スペクトルを示す(中,下図)。比較として,上図には前回(2023A期)に得た130 Kでの立方晶200反射スペクトルを示す。挿入図のロッキングカーブ,反射スペクトルともフェルヴェー転移により顕著に変わっている。中図はロッキングカーブのL位置で,下図はH位置で,それぞれ14,18 hの積算時間で反射スペクトルを測定したものである。スペクトル形状が測定場所により明らかに異なる。図中の赤線は,実験室メスバウアー分光により求められたBサイトサブスペクトルのパラメーター[2]でシミュレーションしたものである。この単射晶の対称性(Cc)では必ず複数のサイトのスペクトルが混ざり合ってしまうが,中図はFe3+的,下図はFe2+的反射スペクトルが主となっている。これらは,前回(2023A期)に得た85 Kでの反射スペクトルとも異なる。フェルヴェー転移による電荷分離を捉えたものと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 The cubic 200 reflection spectrum at 130 K (above) and the monoclinic 004/220 reflection spectra at 85 K(middle and below) of 57Fe3O4.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献   
[1] S. Nakamura, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 92,124708 (2023).
[2] 後藤典夫, 博士学位論文,東京大学(1987年).

・謝辞 三井隆也氏,及び,藤原孝将氏(QST)に感謝します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Fujiwara Kosuke, Mitsui Takaya, Shimomura Susumu, Nakamura Shinichi, "Evoluation of the Snchrotron Mössbauer Diffraction Spectroscopy System at BL11XU SPring-8", International Conference on Hyperfine Interactions and their Applications (HYPERFINE2023)(Nara), 令和5年11月14日
  2. 中村真一、藤原孝将、三井隆也、下村晋, "Fe3O4低温相のメスバウアー回折", 第17回SPRUC核共鳴散乱研究会(名古屋), 令和6年3月1日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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