【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23QS0013
利用課題名 / Title
水素誘起アモルファス化後の水素吸蔵反応の観測
利用した実施機関 / Support Institute
量子科学技術研究開発機構 / QST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
水素貯蔵/ Hydrogen storage,X線回折/ X-ray diffraction,放射光/ Synchrotron radiation
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
佐藤 豊人
所属名 / Affiliation
芝浦工業大学工学部機械機能工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
廣瀬 暉,中平 夕貴,内海 伶那
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
齋藤 寛之
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
水素社会の実現に向けて効率的、かつ安全な水素貯蔵技術の確立が不可欠となっている。様々な水素貯蔵方法が報告されているが、水素を原子状態で材料内に貯蔵する水素貯蔵材料(水素化物)は、水素ガスを高圧で貯蔵する高圧貯蔵や極低温で貯蔵する液化貯蔵よりも単位体積当たりの水素量が高い貯蔵方法(=コンパクト)である。典型的な水素貯蔵材料は、水素との親和性が高い元素A(周期表の1-5族元素)と低い元素B(周期表の6-12族元素)で形成される金属間化合物ABx (x: AとBの比率)が利用され、室温近傍で可逆的な水素吸蔵・放出反応を示す。一方、水素貯蔵材料の課題は、質量当たりの水素貯蔵量の改善(=軽量化)や既存の水素貯蔵材料LaNi5に代わる新規物質の探索となっている。水素貯蔵材料研究において、水素吸蔵・放出反応は、10 MPa以下での水素加圧下で評価されるが、水素は、1 GPa以上で材料との反応が促進されるため、その圧力領域で水素と材料の反応を観測することによって新規水素貯蔵材料の発見につながることが期待される。 申請者は、1 GPa以上の高圧を利用した研究結果から、金属間化合物が水素と反応して非晶質化した後、結晶質の水素化物相が形成される結果を得ている。典型的な水素貯蔵材料ABxにおいて、x = 2の場合、ラーベス相合金AB2が形成され、水素吸蔵後に非晶質化する現象(水素誘起アモルファス化:HIA)が報告されている。そこで、本研究では、HIAを起こすラーベス相合金YNi2に着目し、HIA後に形成されることが予想される結晶質の新規水素化物相の探索を目的に、1 GPa以上でのYNi2の水素化反応を放射光X線回折で観測した。
実験 / Experimental
YNi2は、アーク溶解炉を用いてYとNiから合成された。合成されたYNi2は、高圧実験用セル内に水素源(BH3NH3)と実験試料を同封し、BL14B1の高圧プレスに設置し、高圧下での水素吸蔵反応が放射光X線回折を用いてその場観察された。
結果と考察 / Results and Discussion
図に9 GPaに到達後、400℃で保持したときのX線回折パターンを示す。400℃に到達して約16分後に試料は非晶質化し、その後、結晶質を示すブラッグピークが観測された。このブラッグピークは、既存の化合物と一致せず、反応過程で、YNi2が分解する反応が観測されなかったことから、新規水素化物相であることが示唆された。今後、得られた結果を解析し、新規水素化物相を同定する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
9 GPa, 400℃に到達後のX線回折パターン
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件