【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2025.04.03】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23QS0001
利用課題名 / Title
核共鳴散乱を用いた混合原子価鉄酸化物の電荷秩序配列の検証(2)
利用した実施機関 / Support Institute
量子科学技術研究開発機構 / QST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
スピン制御/ Spin control,放射光/ Synchrotron radiation,メスバウアー分光/ Mossbauer spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
中村 真一
所属名 / Affiliation
帝京大学理工学部リベラルアーツセンター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
下村晋
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
三井 隆也,藤原 孝将
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
放射光メスバウアー4軸回折計を用いて,混合原子価酸化物Fe3O4のフェルヴェー転移における電荷秩序配列に関わる測定を試みた。今回は,57Feエンリッチ単結晶を用い,まず偏光アナライザー法[1]を用いて,室温でサイト選択的スペクトル測定を試みた。チャンネルカット型,平板型両方のアナライザーを用いたが,信号が弱く目的のスペクトルは得られなかった。そこで,室温で禁制反射200からの純核ブラッグ散乱[2]を用いてBサイトのみのスペクトルを低温で測定する事とした。フェルヴェー点直上の130 Kでは,室温と同様の反射スペクトルが得られ,低温相領域85 KではFe3+的反射スペクトルが得られた。
実験 / Experimental
実験は,BL11XUに立ち上げた放射光メスバウアー4軸回折計を用い,各所に遮蔽を施した高感度配置にして行った。測定試料は,57FeエンリッチFe3O4単結晶を用いた。まず,チャンネルカット型,平板型両方のアナライザーを用いて222反射からのBサイトのみのサイト選択的スペクトル測定を試みた。目的のスペクトルが得難かったため,予備測定として用意していた,禁制反射200を用いて,純核ブラッグ散乱によるBサイトのみのスペクトル測定を低温で実施した。回折用液体窒素クライオスタットに試料をセットし,フェルヴェー点前後の130 K,及び,85 Kでの回折スペクトル測定を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1 に130 Kにおける57FeエンリッチFe3O4の立方晶200反射スペクトルを示す。反射強度は非常に弱く,10 hrの積算時間をかけた。前回得られた300 Kのスペクトルと同様,電場勾配主軸と内部磁場のなす角が0ºと70.5ºの2種類のFe2.5+サブスペクトルが1:1の比で構成されている。destructiveな干渉効果により2ライン(v 〜 -3 mm/s付近)と6ライン(v 〜 8 mm/s付近)がほとんど消失した異常な形状となっている。Fig.2には,85 Kにおける57FeエンリッチFe3O4の単射晶220/004反射スペクトルを示す。積算時間は11.5 hである。立方晶から単斜晶への構造相転移により複数の弱い許容反射(220, 004等)が観測され,その内の1つを用いて反射スペクトルを測定したものである。許容反射を用いたにも関わらず核共鳴発光スペクトルが観測されるという興味深い結果となった。SNが悪いため詳細な解析は困難であるが,図にアサインしたピークは明らかにFe3+のものである。フェルヴェー転移による電荷分離を捉えたものと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 The cubic 200 reflection spectrum of 57Fe3O4 at 130 K.
Fig. 2 The monoclinic 220/004 reflection spectrum of 57Fe3O4 at 85 K.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・参考文献
[1] 中村真一,三井隆也, 固体物理 52,551(2017).
[2] S. Nakamura, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 92,124708 (2023).
・謝辞 三井隆也氏,及び,藤原孝将氏(QST)に感謝します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
-
Shin Nakamura, Development of synchrotron Mössbauer diffractometer and its possible application to industry, Interactions, 245, (2024).
DOI: 10.1007/s10751-024-02161-z
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 藤原孝将、三井隆也、下村晋、中村真一、”放射光メスバウアー回折分光による57Fe3O4のフェルベー転移前後のBサイトスペクトルの観測”、日本物理学会第78回年次大会(仙台)、令和5年9月17日
- 中村真一、藤原孝将、三井隆也、下村晋、”Fe3O4低温相のメスバウアー回折”、第17回SPRUC核共鳴散乱研究会(名古屋)、令和6年3月1日
- Shinichi Nakamura, Kosuke Fujiwara, Takaya Mitsui, Susumu Shimomura, "Development of Synchrotron Mössbauer Diffractometer and its Possible Application to Industry", International Symposium on the Industrial Applications of the Mössbauer Effect (ISIAME2024)(北九州市), '令和6年9月2日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件