利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS3004

利用課題名 / Title

マイクロ流体デバイスを用いた植物の成長解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

植物細胞、成長解析、マイクロ流体デバイス


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

四方 明格

所属名 / Affiliation

自然科学研究機構基礎生物学研究所植物環境応答研究部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

高田 紀子,木村 幸代

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-101:マスクレス露光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

植物の根は、水分や養分を吸収し、また地上部を物理的に支える器官として働く。根の成長する環境である土壌は不均質で不透明であり、その内部を直接観察する事は困難である。近年、根の成長や様々な応答を詳細に解析する手法として、マイクロ流体デバイスが注目されつつある。申請者はこれまで根の表面から発生する根毛という細胞に着目して研究を進め、その解析にマイクロ流体デバイスを利用してきた。根毛は直径10 µm程度で長さ1000 µm程に成長する細胞であり、土壌中から水分や栄養分を直接吸収する役割をもつ。根毛と土壌粒子との接触を直接観察することは困難であるため、土壌粒子環境をマイクロ流体デバイス内で模倣する事で、微視的な観察を可能とする。

実験 / Experimental

本研究で用いるマイクロ流体デバイスは二層構造をとっており、厚さ10 µm程度の一層目と厚さ200 µm程度の二層目からなる。1層目には根毛の接触応答を解析するための微細なパターンを有し、2層目には根を成長させるための大きな流路を有する。鋳型を製作する手順としては、1層目を構築し、続いて2層目を構築する。1層目の構築は共同研究者が担当するため、2層目の試作を分子科学研究所装置開発室において行った。1層目の構築にガラス基板を用いる必要があったため、今回の試作にはカバーガラスを基板として用いた。表面を酸素プラズマ処理した後、疎水化処理を行い、SU-8 3050を200 µmの厚さになるようにスピンコートした。プリベークした後、マスクレス露光装置により造形パターンの照射を行った。照射後の基板はポストベークを行った後、現像処理を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

現像処理を行なった際に、造形物の多くがガラス基板から剥がれてしまう結果となった。他機関での試作でも、ガラス基板上にSU-8を塗布し、マスクレス露光装置によりパターンを照射した場合、現像時の造形物の剥がれが散見された。この場合、露光時間の設定をシリコン基板使用時よりも長くする事で、ガラス基板からの剥がれを抑制する事ができた。基板表面での照射光の反射が少ない分、ガラス基板を用いる場合にはシリコン基板よりも露光量(時間)が多く必要となるようである。そのため、今回のケースも露光時間が十分ではなかった可能性が考えられた。一方で露光時間が長くなると造形パターンの繊細さが失われるため、今後の試作においては、適切な露光時間を求める必要があろう。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、科研費・新学術領域研究「植物の力学的最適化戦略に基づくサステナブル構造システムの基盤創成」の支援を受けて行なった。また、本共同利用提案を採択頂いた分子研マテリアル先端リサーチインフラ事業、並びに技術相談や機器のインストラクションをして下さった分子科学研究所・技術職員 高田紀子、木村幸代両氏に感謝申し上げる。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

スマートフォン用ページで見る