利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS3002

利用課題名 / Title

分裂酵母ライブイメージングとデバイス内部からの選択的回収

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

ライブイメージング, マイクロ流体デバイス


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

杉山 博紀

所属名 / Affiliation

自然科学研究機構基礎生物学研究所生命創成探究センター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-101:マスクレス露光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

マイクロ流体デバイスを利用したライブイメージングは、望みの計測環境を実現できる点で強力であるが、イメージング下で見出された興味ある個体に対して個別の追加的検討にかけられないという欠点がある。この点を解決できると、遺伝学・生化学の適用範囲を、従来の静的な表現型から動的な表現型にまで拡張するための要素技術となり、大きな波及効果を生むことが期待できる。しかしこれまでに、産業的なレベルはもちろん、研究室レベルでさえ実用可能な水準で実装・報告された例がない。そこで本研究課題では、マイクロ流体デバイス内部でライブイメージングされた個体の選択的な回収を実現できるデバイスの作製を目指した。

実験 / Experimental

支援機関においては、光リソグラフィーの手法によって、マイクロ流体デバイスを作製した。具体的には、スピンコーターを利用して、シリコンウェハまたはガラス基板上に感光性樹脂を薄く均一に塗布したのち、マスクレス露光装置によって設計パタンに沿って光を照射することで、目的のパタンが転写されたモールドとした。露光後現像されたモールドを、光学顕微鏡および段差計によって設計値が反映されていることを確認した。使用可能と判断されたものについては、所属研究室に持ち帰り、熱硬化性樹脂の中に包埋し別の基板(典型的にはガラス)と貼り付け、マイクロ流体デバイスとして利用した。マイクロ流体デバイスとしての性能の評価はすべて所属研究室の設備を利用して行われた。具体的には、モデル生物である分裂酵母の捕捉性能や、潅流下での分裂酵母の生育性、溶液交換に対する応答性などが評価項目であるが、未発表データを多く含むため、詳細については省略する。

結果と考察 / Results and Discussion

最終的に構想するマイクロ流体デバイスは、2液をデバイス内で混合するモジュールや、細胞を補足するモジュールなどが統合されたデバイスである。そこで本年度の検討では、これらをまず分割して、個別に性能評価した。2液を混合するモジュールについては、一層の(均一高さの)流路によって目的の性能を十分達成できた。マスクレス露光装置による直接の光照射(直描)と、マスクアライナを利用してフォトマスク越しに照射する場合とでは、後者のほうがやや解像度は高くなるものの、実験手順が増えること、後述するグレースケール露光への応用性に欠けることなどから、前者の直描が適していると判断された。特に、膜厚が薄い場合には直描で十分な精度を実現できることも確かめられた。他方、細胞の捕捉モジュールについては、デバイス内部での細胞あるいは微小ゴミのアグリゲーションによる流路の閉塞が問題となった。申請者が利用する細胞は概ね幅3~4 µm程度の桿状形態をしており、必然的に流路幅や高さも小さなスケールとなるため、使用試料のろ過などによる効果も限定的であった。 そこで、マスクレス描画装置のグレースケール露光機能を利用して、多層の(高さ違いの)流路を構成することを検討した。グレースケール露光はデジタルミラーデバイスを利用して、設計パタンの位置ごとに異なる強度で光照射する機能である。これによって、細胞捕捉部以外のチャネルのスケールを大きくすることで、こうした閉塞を解消できると考えた。本年度の検討においては、グレースケール露光機能によってどの程度の光を照射するとどの程度の厚みのモールドが得られるか、という基礎データを得た。特に、膜厚が低い条件では、概ね光の照射強度に比例して膜厚を低くすることができることが分かった。現在、この基礎検討データを利用してデバイスを設計しているところである。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究課題は、JSPS科研費 特別研究員奨励費(課題番号 21J01354)、2021年度地神芳文記念研究助成、JSPS科研費 若手研究(課題番号 22K15115)の支援を受けて遂行された。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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