利用報告書 / User's Report

【公開日：2023.07.31】【最終更新日：2023.04.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS2001

利用課題名 / Title

有機-無機界面磁気結合を利用した原子層物質の磁気状態制御

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis（副 / Sub）計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies（副 / Sub）高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

放射光, 分子研UVSOR BL4B, XMCD


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

宮町 俊生

所属名 / Affiliation

名古屋大学未来材料・システム研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

小野　広喜,吉田　海仁,梅田　佳孝,筒井　健三郎

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

山本　航平,石山　修

利用形態 / Support Type

（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-001：X線磁気円二色性分光


報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

無機磁性体にγ’-Fe4Nの組成を持つ窒化鉄原子層膜と有機分子にCoPcを用いて有機-無機ハイブリッド薄膜を作製し、その磁気状態をX線吸収分光法/X線磁気円二色性(XAS/XMCD)により測定した。CoPc/γ’-Fe4N界面に生じた磁気結合によりγ’-Fe4Nの垂直磁気異方性の向上が確認された。またCoPcの磁気状態については界面CoPc層は面直・面内方向いずれにも磁化をしているが、多層CoPcについては面内方向のみXMCDシグナルが観測された。CoPc層は全てランダムに積層しているという低速電子線回折(LEED)による構造評価の結果とあわせると、CoPc分子間の磁気結合強度は電子軌道に強く依存していることが示唆される。

実験 / Experimental

無機磁性体にγ’-Fe4Nの組成を持つ窒化鉄原子層膜と有機分子にCoPcを用いて有機-無機ハイブリッド薄膜を作製し、その磁気状態をX線吸収分光法/X線磁気円二色性(XAS/XMCD)により測定した。CoPc/γ’-Fe4N界面に生じた磁気結合によりγ’-Fe4Nの垂直磁気異方性の向上が確認された。またCoPcの磁気状態については界面CoPc層は面直・面内方向いずれにも磁化をしているが、多層CoPcについては面内方向のみXMCDシグナルが観測された。CoPc層は全てランダムに積層しているという低速電子線回折(LEED)による構造評価の結果とあわせると、CoPc分子間の磁気結合強度は電子軌道に強く依存していることが示唆される。

結果と考察 / Results and Discussion

XAS/XMCD測定の結果、CoPc分子を約1分子層積層したときにCo XMCDシグナルが見られ、γ’-Fe4Nとの界面磁気結合を介してCoPcが磁化していることが確認された。CoPc積層量を増やしていくと NIとGIで傾向が異なり、NIではCo XMCDシグナルが減少する一方、GIではCo XMCDシグナルは維持されていることがわかった。この傾向は2、3層目のCoPc分子の電子状態を反映したものであり、LEED観察の結果も併せてCoPc分子の積層に伴い面内方向（膜内）の磁気結合は構造乱れにより弱まるが、面直方向（面間）の磁気結合は頑強に維持されていることが示唆される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
  1. K. Kawaguchi, Layer-resolved magnetic moments in N-surfactant assisted FeNi ordered alloy thin films, Japanese Journal of Applied Physics, 61, SL1001(2022).
    DOI: 10.35848/1347-4065/ac66c1
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1.“Magnetic properties of CoPc/γ’-Fe4N organic-inorganic hybrid thin films”, H. Ono, Y. Umeda, K. Yamamoto, O. Ishiyama, T. Yokoyama, M. Mizuguchi, and T. Miyamachi, The 22nd international vacuum congress(IVC-22)
  2. 2. “Structure and magnetic properties of organic-inorganic heterointerface”, 小野広喜, 梅田佳孝, 山本航平, 石山修, 横山利彦, 水口将輝, 宮町俊生, 第5回日本表面真空学会若手部会研究会
  3. 3. “Magnetic states of organic-inorganic hybrid thin films studied by X-ray absorption spectroscopy/magnetic circular dichroism”, 小野広喜, 梅田佳孝, 山本航平, 石山修, 横山利彦, 水口将輝, 宮町俊生, UVSORシンポジウム2022
  4. 4.“CoPc-γ’-Fe4N有機-無機ハイブリッド界面における電子軌道依存磁気特性”, 小野広喜, 梅田佳孝, 山本航平, 石山修, 横山利彦, 水口将輝, 宮町俊生, 第70回応用物理学会　春季学術講演会
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件

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