利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1087

利用課題名 / Title

放射線照射されたアラニン中のラジカル数の定量

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

放射線化学収量,線量計,アラニン,ラジカル,有効磁気モーメント法


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山口 英俊

所属名 / Affiliation

新居浜工業高等専門学校生物応用化学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

産業技術総合研究所 松本 信洋

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

宮島 瑞樹

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-218:SQUID(MPMS-7)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

アラニン線量計に放射線が照射されると安定なアラニンラジカルが発生し、そのラジカルの量と線量を関係付けた検量線を作成することで線量測定が可能となる。放射線誘起ラジカルに関係する物理量として、放射線化学収量がある。放射線化学収量は、単位エネルギーあたりに変化した物質量として定義される。一般的に、アラニン線量計の検量線は高線量になるほど徐々に飽和していくような形をしているため、アラニンラジカルの放射線化学収量は、高線量ほど小さくなるという仮説が立てられる。これを検証するために、本研究では、有効磁気モーメント法を用いて0.3 kGyから101 kGyの線量範囲においてアラニンの放射線化学収量を測定し、放射線化学収量の線量依存性を確認した。

実験 / Experimental

ラジカルの物質量を測定するために、照射されたアラニンペレットの磁気モーメントをQuantum Design社の磁気特性測定装置(MPMS-7)を使用して測定した。磁気モーメントの標準物質であるイットリウム・鉄・ガーネット球を使って磁気特性測定装置の出力を校正した。アラニンペレットの測定では、印加磁場を5 Tに設定し、試料空間の温度を80 Kから300 Kまで変化させて磁気モーメントを測定した。温度の逆数に対してプロットされた磁気モーメントを1次関数でフィッティングし、傾き(キュリー定数)を求めた。得られたキュリー定数を有効磁気モーメント法のラジカル数の導出式に当てはめて、ラジカル数を計算し、放射線化学収量を求めた。

結果と考察 / Results and Discussion

結果として、線量が大きくなるにつれてキュリー定数は大きくなる傾向にあった。また、仮説通り、アラニンの吸収線量の増加に伴い放射線化学収量は小さくなる傾向が得られた。例えば、101 kGyでは0.32 μmol/J, 10 kGyでは0.63 μmol/J, 0.3 kGyでは0.80 μmol/Jの放射線化学収量が得られた。この結果は0.3 kGyの比較的低い線量と比較すると、100 kGy程度の大線量においては単位エネルギーあたりに生成されるアラニンラジカルの量が約2倍以上少なくなっているということを示している。今回の結果では、1 kGyの線量点を除いて、放射線化学収量は線量に対して二次関数的に減少するように見られた。5.6 kGy以上の線量では、4 %以下の不確かさでキュリー定数を求められたが、1 kGy以下ではキュリー定数の不確かさが10 %以上となり正確にキュリー定数を測定できていないことが考えられる。今後は低い線量のアラニンペレットについても磁気モーメントを高精度に測定できるような手法の開発を行う予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. H. Yamaguchi and N. Matsumoto, The 20th International Conference on Solid State Dosimetry, 2023/09/17-22(発表予定)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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