【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23TU0158
利用課題名 / Title
新規超伝導酸化物薄膜によるデバイス開発
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
PVD,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,エレクトロデバイス/ Electronic device,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,超伝導/ Superconductivity
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
神永 健一
所属名 / Affiliation
東北大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
春木啓佑
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
菊田利行
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
既報のニオブ単酸化物(NbO)は最安定相として岩塩型からNbとOが25%ずつ欠損した秩序空孔を有する擬岩塩型をとる[1]一方、準安定相の岩塩型NbOの合成例は存在しない。そうした中、当研究室では非平衡合成法のパルスレーザ堆積(PLD)法とMgO(001)単結晶基板によるエピタキシャル安定化を活用することにより岩塩型NbOの薄膜合成に成功した。岩塩型 NbO薄膜は構造敏感な電子物性を有し、膜厚~ 70 nm以下の薄膜域では基板からの格子歪により絶縁的挙動を示すが、膜厚増加につれて格子歪が緩和されることで厚膜域では超伝導転移を伴う金属的挙動を発現する。そこで本研究ではトップダウン的な表面加工によるNbO薄膜の膜厚制御手法の確立を目的に、ウェット・ドライの双方からエッチングプロセスを検討したので報告する。
実験 / Experimental
製膜にはPLD法を用いた。多結晶NbOターゲットに2.1 J/cm2,5 HzのKrFエキシマレーザーを照射し、550℃に加熱したMgO (001)基板上にNbO薄膜を作製した。その後、2種類の方法でエッチングを行なった。ウェットエッチングでは46 %のフッ化水素酸に72時間浸漬させた。一方、ドライエッチングではビーム電圧を600 V、ビーム電流を400 mA、加速電圧を200 VとしてAr+イオンにより30分間エッチングを行なった。評価にはX線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。
結果と考察 / Results and Discussion
エッチング前後のXRD測定結果(図1(a),2(a))より、NbO 00l反射のピーク位置についてドライでは変化は見られず結晶構造の維持が確認されたが、ウェットでは高角側へのピークシフトが見られた。NbO 002ピーク付近の拡大図(図1(b), 2(b))より双方ともにNbO 002ピーク強度の低下が確認され膜厚減少が示唆されたが、ピーク強度減少の割合はウェットの方が大きかった。エッチング前後のSEM像よりウェット (図3(a),(b))ではエッチング前と比較して表面が大きく粗化されており、表面が化学変化していることが確認された。一方、ドライ(図3(a),(c))では表面形状に大きな変化は見られなかった。したがって、膜厚制御を目的としたNbO薄膜のエッチングにはドライエッチングが適していると結論付けられた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 (a)ウェットエッチング前後のXRD測定結果と(b)NbO 002ピーク付近の拡大図.黒がエッチング前,赤がエッチング後.
図2 (a)ドライエッチング前後のXRD測定結果と(b)NbO 002ピーク付近の拡大図.黒がエッチング前,赤がエッチング後.
図3.エッチング前後のSEM像.(a).エッチング前.(b)ウェットエッチング後.(c)ドライエッチング後.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[参考文献] [1] W.
W. Schulz et al., Phys. Rev. B 46, 14001 (1992).
[謝辞] 本研究はJSPS科研費 19K15440, 20H02610, 22K14595, 23H00263の助成を受けたものです。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
-
Rintaro Kimura, Elevating the Superconducting Temperature in Epitaxially Stabilized Rock-Salt NbO, Chemistry of Materials, 36, 5028-5036(2024).
DOI: 10.1021/acs.chemmater.4c00097
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件