利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0131

利用課題名 / Title

高分子材料の微細構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

ガラス,電子顕微鏡/ Electronic microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

宮田 智衆

所属名 / Affiliation

東北大学 多元物質科学研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

長迫実

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-504:超高分解能透過電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

高分子材料は柔軟性や軽量性に優れていることから、日用品から輸送機器まで産業的に広く利用されている。一方、その材料物性の起源である内部構造は極めて複雑であり、特に原子・分子レベルの構造については解析手法が限られていることからほぼ明らかになっていない。そこで本研究では、走査透過型電子顕微鏡法(STEM)を用いることにより高分子材料内部を原子分解能で観察する手法を開発することを目的とした。特に、材料内部の原子分布を3次元的に解析する手法の確立を目指した。

実験 / Experimental

材料内部に存在する原子の3次元配置を解析する手法を開発するため、まず重元素であるMo原子を含む無機ガラスを用意し、重元素を選択的に明るく可視化できる環状暗視野STEM(ADF-STEM)によりMo原子の空間分布を複数の方向から観察した。STEM観察には、原子分解能走査透過型電子顕微鏡JEM-ARM200F(日本電子)を使用した。

結果と考察 / Results and Discussion

まず、無機ガラス中に分布したMo原子をADF-STEMにより輝点として2次元観察した。さらに、超精密角度計を試料ホルダーに設置することで、0.01度以上の角度精度で複数の方向から試料の同一領域を観察することに成功した。一方、観察対象の試料は電子線照射に弱く、観察中にMo原子の分布が変化してしまうことが明らかとなり、本観察からMo原子の3次元空間分布を明らかにすることはできなかった。今後は、より電子線照射に強い材料を用いて手法の確立を行う計画である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号 JPMXP1223TU0131)の支援を受け、東北大学ナノテク融合技術支援センター(CINTS)において実施されました。また、JSPS科研費23H02017および多元研プロジェクトの支援を受けました。東北大学多元物質科学研究所の助永壮平准教授および東北大学金属材料研究所分析電子顕微鏡室の長迫実博士にはご支援およびご助言をいただきました。深く感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Tomohiro Miyata, Effect of inorganic material surface chemistry on structures and fracture behaviours of epoxy resin, Nature Communications, 15, (2024).
    DOI: 10.1038/s41467-024-46138-6
  2. Hsin-Hui Huang, Microscopic chemical characterization of epoxy resin with scanning transmission electron microscopy – electron energy-loss spectroscopy, Micron, 180, 103623(2024).
    DOI: 10.1016/j.micron.2024.103623
  3. Tomohiro Miyata, Atomic-scale analysis on a rubber-brass adhesive interface using scanning transmission electron microscopy, Polymer, 265, 125602(2023).
    DOI: 10.1016/j.polymer.2022.125602
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Tomohiro Miyata, Yoshiaki Kawagoe, Raita Goseki, Tomonaga Okabe, Takashi Ishizone, Hiroshi Jinnai, "Atomic-level determination of polymer chain structures by electron microscopy combined with molecular simulation", APS March meeting 2024, Minneapolis, USA, March 5, 2024.
  2. 宮田智衆, "高分解能電子顕微鏡法の基礎と高分子材料観察への応用", 高分子分析研究懇談会416回例会(講演会)(オンライン), 2023年10月3日
  3. 宮田智衆 , 鹿久保隆志 , 清水克典 , 網野直也 , 陣内浩司, "架橋ゴム内部におけるゴム分子鎖の原子分解能観察への挑戦", 第72回高分子討論会(香川), 2023年9月27日
  4. 宮田智衆, "高分子の原子分解能観察への挑戦", 第50回高分子学会東北支部夏季ゼミナール(蔵王), 2023年7月14日
  5. 宮田 智衆, "原子分解能STEMの高分子材料への応用", 第79回日本顕微鏡学会学術講演会(松江), 2023年6月27日
  6. 宮田 智衆, 鹿久保 隆志, 清水 克典, 網野 直也, 陣内 浩司, "架橋ゴム内部における微視的階層構造の原子分解能電子顕微鏡観察", 第72回高分子学会年次大会(高崎), 2023年5月25日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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