【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23TU0078
利用課題名 / Title
有機/無機界面接着機構の解明
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
高分子,電子顕微鏡/ Electronic microscope,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
佐藤 庸平
所属名 / Affiliation
東北大学 多元物質科学研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
長迫実
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TU-504:超高分解能透過電子顕微鏡
TU-517:透過電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
無機材料と有機材料の接着は、自動車や航空機のフレームを構築するうえで重要な要素技術であり、接着の強化や剥離など接着の制御が応用産業界で求められている。そのためには、接着メカニズムの理解が必要である。接着メカニズムには、表面凹凸形状によるアンカー効果に起因した機械的相互作用と、無機表面原子と高分子間の水素結合・ファンデルワールス相互作用・共有結合を含む化学的相互作用の2つの因子が存在する。本研究では、機械的相互作用を排除し、原子レベルで平滑な接着界面における化学的相互作用を明らかにするため、Si基板とエポキシ樹脂接着界面のSTEM-EELS測定を行い、界面近傍の化学結合の評価を行った。
実験 / Experimental
エポキシ樹脂は、主剤分子DGEBAと硬化剤分子PACMを混合させたものを用いた。DGEBAとPACMの当量比はP/D=0.8, 1.0の2種を用意した。Si基板表面はH終端およびOH終端処理を施し、2種の当量比のエポキシを塗布、90分間100℃加熱することでエポキシを硬化させ、接着界面を作製した。界面はArイオン研磨法により薄片化させTEM試料とした。STEM観察およびSTEM-EELS測定によりC-KおよびN-K端強度を取得した。用いた装置は、JEM-ARM200Fであり加速電圧200kVで観測を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
図は、EELS測定で取得したN-K端スペクトル強度の接着界面近傍の分布を示したものである。N-K強度は390-420eVの積分強度で表し、同じ場所から測定したC-K強度(280-310eVの範囲で積分)で規格化することで、N密度の分布とした。図は、k因子法によりN密度の分布を当量比(P/D)に変換して表示している。OH終端Siの接着界面では接着界面(距離0の場所)で当量比が大きくなり、界面からエポキシ側へ向かってややN量の減少がみられた。一方で、H終端Siの接着界面近傍では、当量比は接着界面から1nm程度離れた場所で最大となり、そこからエポキシ側へやや減少して分布している様子が観測された。Nはエポキシ樹脂の硬化剤分子PACMに帰属する。本測定結果は、OH終端の接着界面においてPACMが偏析していることを示している。このような分布は当量比P/D=1.0のエポキシでも同様であり、当量比が減少したP/D=0.8のエポキシであってもその組成分布は同じ傾向を示すことが明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Si/エポキシ樹脂接着界面近傍におけるエポキシ当量比(PACM/DGEBA)の分布。距離ゼロの位置が接着界面である。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件