利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1068

利用課題名 / Title

糖鎖脂質含有二重膜表面で誘起されるアミドイドβ会合状態の固体NMRを用いた構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

糖鎖、分子構造、NMR


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

矢木  真穂

所属名 / Affiliation

名古屋市立大学大学院薬学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

西村 勝之,加藤 晃一

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-232:高磁場NMR(600MHz固体)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

アミロイドβペプチド(Aβ)はアルツハイマー病の原因因子と考えられ、凝集して不溶性のアミロド線維を形成する。近年、この線維化が細胞膜表面で促進されることが報告されている。本研究では、モデル細胞膜として糖鎖脂質GM1を含有した脂質二重膜存在下で形成されるAβ会合中間体を捕捉し、その分子構造を決定することにより脂質膜上で誘起される線維化分子機構を解明することを目的としている。 これまで、固体NMRを用いて各種の13C、15N2次元同種核、および異種核相関スペクトルを測定し、連鎖信号帰属、および化学シフト値解析に基づく二次構造同定、二面核決定を行い、13C間の大まかな分子内、分子間距離情報を取得した。さらにこれら二面角、原子間距離状の制限付き分子動力学計算を隣接する複数分子で行い、分子配座および構造決定に成功した。 本研究では同ペプチドと脂質膜との相対配置を規定する実験事実が存在しない為、実験的に脂質膜と同ペプチドの近接性を証明する実験を行う。

実験 / Experimental

GM1およびDMPCから成るベシクルを調製し、Aβ40を添加して調製したプロテオリポソームを超遠心により遠心沈降させ、すぐに凍結乾燥することで脂質膜表面に結合したAβ会合体を捕捉する。このように調製した測定試料を用いて固体NMRによる構造解析を試みた。試料調製時に複数の濃度条件で脂質膜にTEMPOを添加した試料では13C、15N安定同位体全標識したAβ40、通常の脂質膜ではIle31を残基選択的に13C、15N安定同位体全標識したAβ40を用いた。  全ての固体NMR測定は分子科学研究所機器センター所有のAvance600分光器に2.5mm 1H-13C-15N-三重共鳴magic angle spinning (MAS) プローブを用いて行った。Dipolar assisted rotational resonance(DARR)法を用いて13.5 kHzの回転速度で実験を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

部位特異的同位体標識した試料からは、全安定同位体試料では分離が明瞭でなかったIle31側鎖の信号が明瞭に区別でき、全標識試料で帰属済みの化学シフト値を示す結果が得られた。さらに、TEMPOを添加した試料では、C末端側のβシートを構成する残基で、TEMPO濃度に比例するparamagnetic relaxation enhancement (PRE)による信号減少が観測された。この結果からAβ40はC末端側を膜面に接する配座で脂質膜と結合していることが実験的に証明された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Maho Yagi-Utsumi, The double-layered structure of amyloid-β assemblage on GM1-containing membranes catalytically promotes fibrillization, , , (2022).
    DOI: 10.1101/2022.06.26.497640
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. “GM1ガングリオシド膜上で触媒的に線維形成を促進するアミロイドβ集合体の構造解析”, Maho Yagi-Utsumi, Satoru G. Itoh, Hisashi Okumura, Katsuhiko Yanagisawa, Koichi Kato, Katsuyuki Nishimura 日本薬学会第143回年会, 令和5年3月25-28,札幌
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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