【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23TU0032
利用課題名 / Title
スパッタリング膜の断面観察
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
スパッタリング, 銅合金, 薄膜,電子顕微鏡/ Electronic microscope,集束イオンビーム/ Focused ion beam
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
西川 周二
所属名 / Affiliation
小島プレス工業株式会社 研究開発部
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
正橋直哉,松井博世
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
今野豊彦,兒玉裕美子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TU-504:超高分解能透過電子顕微鏡
TU-508:集束イオンビーム加工装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
基板にスパッター薄膜を積層させることで、耐食性や高強度化などの機械的性質に加え、着色や審美性などの機能的性質を付与することができ、様々な産業で利用されている。しかしスパッター膜の構造や組織、そして組成均一性の基板材料や熱処理による影響は十分に把握されていない。本研究では、Siと樹脂を基板にCuのスパッター膜を形成させた積層材の組織の基材への影響を把握することを目的とする。
実験 / Experimental
Si基板あるいは樹脂基板(10 mm×10 mm)に対し、Cuスパッタリング(約1.2μm厚み)を施した試料と、140 ℃×168 hの熱処理を施した試料の合計4種の断面観察を行い、界面近傍の欠陥の有無、断面の組織形態、そして構成元素の分布状態を調べることで、組織や組成などの基板の影響を把握することを目的とする。試料作製は、FIB加工観察装置 (Versa3DおよびQuanta3D)を用いて断面化を行い、その断面組織をSEM観察とEDX分析にて行う。また、このようにして作製した試料を超高分解能透過電顕 (JEM-ARM200F)で観察する。
結果と考察 / Results and Discussion
Si基板材の組織は微細粒でCu膜中に欠陥は存在しないが、熱処理により組織は100 nm程度の粒に成長し、界面や膜内にはポアを、また界面に非晶質の酸化層を確認できた。Cu膜からはSiが検出され、その量は熱処理により増加している。一方、樹脂基板材は膜方向を貫通するクラックやクレーターを伴った柱状組織を呈し、熱処理により粒成長がおこり、膜中に樹脂成分のSiやSが増加し、界面にはCuの酸化層を確認できた。どの基板でも膜中の欠陥は熱処理により増加していることから、基材とCu膜との相互拡散や反応性が欠陥形成の原因と考えられるが、樹脂とCuの熱膨張差がクラックを誘発したと考察する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. Siおよび樹脂基板Cuスパッタリング膜の熱処理有無材の断面組織
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
平衡状態図から、OのCuの固溶限は小さいためCu2Oを形成しやすく、熱処理材の界面層はCu2Oである可能性が高い。またSiはCuに最大11 at.%程度(852℃にて)固溶するため、140℃の熱処理でも数 at.%のSiの固溶が推測できる。Siは樹脂基板からCu膜中に拡散しやすく、反応層としてCu0.88Si0.12を形成している可能性がある。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件