利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0016

利用課題名 / Title

バイオセンシングに利用する新規構造を有する光共振器の開発

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

光導波路/ Optical waveguide,センサ/ Sensor,光デバイス/ Optical Device,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

チューン ホアンアン

所属名 / Affiliation

東北大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

室岡宏彌

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-064:エリオニクス 130kV EB描画装置
TU-201:DeepRIE装置#1


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、通信分野及び医療診断分野では、低損失なコンパクトな光デバイスが求められている。リング共振器は小型で加工しやすい特性があり、高感度に生体分子を検出する研究が注目される。リング共振器の形状の感度依存性があることから検出感度を向上することを目標にし、2種類の新規構造を提案した。一つ目は、SOI基板上新規構造を有するダブルスパイラル型Si光導波路デバイスの作製し、周囲が延長した共振器として小型で高感度のバイオセンサについて研究を行った。二つ目は、ナノ構造を有するリング共振器の同心円状光共振モードを用いて、バイオセンサのセンシング面積を拡張できる高Q共振モードの光デバイスの研究をした。以上の構造は、SOI基板上形成される。東北大学試作コインランドリの電子線(EB)描画装置、深掘り反応性イオンエッチング(DeepRIE)装置を利用して、デバイスを作製した。

実験 / Experimental

Si回折共振器は Siデバイス膜厚250 nm のSOI 基板(20 mm□)上で構築された。ピラニア溶液(濃硫酸:過酸化水素水の7:3の混合物)基板を洗浄し、EBレジスト(ZEP520A)を成膜し、EB描画装置を用いてEB露光を行い、レジストパターンを作成した。EBのビーム電流値を250pA, ドーズを200~300 µC/cm2にした。その後、DeepRIEを用いてSiをエッチングした。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 1はダブルスパイラル型Si光導波路(a)およびアセトン検出時の共振波長変化(b)を示した。41 µm × 88 µmの面積上にスパイラル構造が形成でき、導波路の幅が450 nmであった。従来の光リング共振器と比べて、スパイラル構造共振器は感度を10倍向上でき、従来の共振器が検出できないアセトン濃度の100 ppmを検出できた[論文1]。 ナノ構造を有するリング共振器の研究結果については、FDTD法を用いた解析によって、共振器の半径およびグレーティング構造の周期を最適化することでリング円周方向への光伝搬以外に、中心対称性を持つ動径方向に光が閉じこめられる光モードが生成され、Q値の最大値が 1.3×105 であった[論文2]。そこで、リング半径が5 µmのグレーティング構造型共振器をSOI基板上作製した。Fig. 2はドーズが300 µC/cm2の共振器のSEM図を示した。グレーティング構造が形成され、導波路の幅を500 nmであった。しかし、導波路とナノ構造の間隔(50 nm)が形成できなかった部分が見られた。2024年度には、加工条件を最適化し、ナノグレーティング構造共振器の特性を取得すると考えている。本研究を実施できれば、同心円状モードを用いるバイオセンシングの高性能に期待できる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 (a)ダブルスパイラル型Si光導波路および(b)アセトン検出時の共振波長変化



Fig. 2 ナノ構造を有するリング共振器の試作したSEM図


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

謝辞:JSPS科研費K22K14580の助成およびthe Kao Foundation for Arts and Sciencesの研究助成を感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Anh Igarashi, Enhancement of Refractive Index Sensitivity Using Small Footprint S-Shaped Double-Spiral Resonators for Biosensing, Sensors, 23, 6177(2023).
    DOI: https://doi.org/10.3390/s23136177
  2. Anh Igarashi, Si-microring resonator with sidewall nanograting structures for high-Q resonance modes, Optical Review, 30, 238-245(2023).
    DOI: https://doi.org/10.1007/s10043-023-00793-0
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Anh Igarashi, “Effect of concentric modes formed by nanograting structured ring resonator on biosensing sensitivity”, 9th Nanotech & Nanomaterials Research Conference, Rome, Italia, June 2023.
  2. Koya Murooka, Anh Igarashi, and H. Yamada “High-Q concentric multimode optical ring resonator with nano grating structure bus-waveguide“, Photonics Device Workshop 2023, 2023年12月7日.
  3. 五十嵐 アン, 阿部真帆, 黒岩繁樹, 大橋啓之, 山田博仁 “屈折率バイオセンサのためのマイクロ流路内におけるスパイラル型光共振器”, 第40回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム 2023年11月8日.
  4. 五十嵐 アン, 室岡 宏彌, 大寺 康夫, 山田 博仁 “回折格子型リング共振器による同心円状光モードのバイオセンシングへの応用”, 2023年 第48回 光学シンポジウム Optical Symposium 2023年6月23日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る