利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0003

利用課題名 / Title

弾性波デバイスの開発

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

高周波デバイス/ High frequency device,スパッタリング/ Sputtering


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

竹野 広晃

所属名 / Affiliation

ジオマテック株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

櫛引淳一

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-324:直線集束ビーム超音波材料解析システム#1
TU-325:直線集束ビーム超音波材料解析システム#2


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、弾性波デバイスの5GHzを超える高周波数化が求められる。本研究では、高周波数化に適した圧電体薄膜/音響多層膜/支持基板の構造からなるSolidly Mounted Resonator (SMR)の開発を目的としている。SMRの作製条件の最適化には、圧電体膜の音響特性と成膜条件の相関関係を調査することが非常に重要である。そこで本研究では、異なる条件で形成したAlN薄膜に対して、直線集光ビーム超音波材料解析(LFB-UMC)システムを用いて音響特性を評価した。

実験 / Experimental

表1に示すように、無加熱、200℃、600℃において各種基板にジオマテック所有のスパッタリング装置によってAlNを厚さ1µmだけ成膜した。基板には、c-Sapphire、c-SapphireにTi(5nm)/Al(100nm)を成膜したもの、(100)面Si、SiO2ガラスの4種類を用いた。ここで、Ti/Alは無加熱下で成膜した。AlNのc軸配向性は、ジオマテック所有のX線回折法によるロッキングカーブ測定によって評価された。加えて、東北大学のコインランドリ所有のLFB-UMCによって、試料表面を伝搬するLSAW速度を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に、各試料に対して測定したLSAW速度のfH依存性を示す。ここで、横軸fHは、周波数f (100-275 MHz)とAlNの膜厚Hの積を示す。各図の計算値は、別途、各バルク材料に対して測定された材料定数を用いて計算されたものである。図から、Ti/Al下地のある試料(図1(b))を除いた場合に、成膜温度が高い方が、LSAW速度が計算値(バルク)に近づくことが分かった。一方で、Ti/Al下地のある試料(図1(b))の結果のみ異なる点については、試料表面が荒れていることがAFMによって確認されており、特に600℃成膜における下地Al膜の荒れに起因していると考えられる。図2に、各AlN試料に対しておこなわれたX線回折法により観測されたAlN(002)面の回折ピークに対するロッキングカーブ半値幅(FWHM)を示す。図から、Ti/Al下地のある試料を除き、600℃成膜の方がAlNのFWHMが小さくなることが分かった。これは、LSAW速度の測定結果(図1)と対応している。すなわち、LFB-UMCシステムを用いた測定により、成膜温度、ひいては結晶状態の違いによるAlNのLSAW速度変化を捉えることができたといえる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


表1 AlN薄膜試料の作製条件



図1 各AlN試料に対するLSAW速度のfH依存性の測定値と計算値の比較



図2 各AlN試料に対するX線回折法によるロッキングカーブのFWHM測定値


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 大橋雄二, 櫛引淳一, 戸津健太郎, 竹野広晃, 伊東孝洋, “LFB-UMCシステムによるAlN薄膜の評価”, 圧電材料・デバイスシンポジウム, 2024年1月.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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