利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT1038

利用課題名 / Title

酵母を用いた人工的タンパク質脂肪酸修飾システムの構築

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

脂肪酸,タンパク質,リポソーム


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

奥 公秀

所属名 / Affiliation

京都先端科学大 バイオ環境学部バイオサイエンス学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

井上良幸

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-313:ゼータ電位・粒径測定システム
KT-314:ダイナミック光散乱光度計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

バイオ医薬品のDrug Delivery System(DDS)として近年利用用途が広がりつつあるリポソームは、脂質2重層で構成される小胞である。リポソームの表面にペプチドを付加する技術は開発されているが、より高分子のタンパク質を表面に決まった配向性で付加する技術は未だに確立されていない。  
本申請者はタンパク質生産系の宿主として確立している酵母を対象に、その細胞内で発現(生産)されたタンパク質を脂肪酸で修飾する発現修飾系の構築を行ってきた。生体膜において蛋白質に付加された脂肪酸は脂質2重層に挿入される性質を持つため、リポソーム作製時にも同様の脂肪酸部分挿入による修飾タンパク質のリポソーム表面付加が期待できる。しかしながらこのような脂肪酸修飾タンパク質の付加がリポソーム自体の形状に与える影響は不明であり、DDS利用を考慮するうえで調査すべき要素として残っている。本申請課題では脂肪酸修飾タンパク質の有無によるリポソーム粒径比較を行った。

実験 / Experimental

脂肪酸付加型改変タンパク質Xを発現する酵母Komagataella phaffii圧縮破砕し、破砕液に界面活性剤(CHAPS)を添加して室温で混合後、遠心分離により不溶成分を除去した。上清サンプルをTakara Bio社製Talon樹脂と混合し、樹脂洗浄後、100mMイミダゾールを含む溶液により溶出を行うことで、目的タンパク質の精製を行った。また、上記と同じアミノ酸配列を有するタンパク質を大腸菌においても発現させ、同様の方法でタンパク質を精製した。酵母および大腸菌発現により精製されたタンパク質の濃度をTakara Bio社製 BCA Protein Assay kitを用い測定した。リポソーム作製のため、富士フィルム和光純薬社製DPPC(dipalmitoyl phosphatidylcholine)を2 mg/mLとなるよう、上記溶出液または酵母精製タンパク質溶液(0.1 mg/ml)と混合し、55℃で30分間撹拌した(水和)。その後、Avanti Polar Lipids 社製Mini Extruderに2回通すことでサイズ調整を行った。酵母精製タンパク質溶液と混合したサンプルについては、その後さらに大腸菌発現精製タンパク質も加え、過酸化水素200mMを加えて30℃、30分間混合した。作製したリポソームは4℃で16時間静置した後、遠心分離により濃縮した。その後、生理食塩水に懸濁し、大塚電子社製ゼータ電位・粒径測定システムを用いて粒径を計測した(1サンプルにつき70測定行った)。

結果と考察 / Results and Discussion

上記実験で作製した2種類のリポソームの粒径計測結果を添付した。精製した脂肪酸付加タンパク質を加えて作製したリポソームは、DPPCのみで作成したリポソームと比較して粒径が約11%小さく計測された。両者の粒径の差は統計学的に有意であった。
DPPCから成るリポソームの2重層に脂肪酸が挿入される場合、2重層の外側、内側のリン脂質パッキングの程度の差に応じて脂肪酸の挿入割合も外側と内側とで異なる可能性が高い。今回のリポソーム作製条件においては、脂肪酸挿入が結果として粒径を減少させたことから、リポソームの曲率を大きくする効果をもたらしたと考えられる。これは脂肪酸部分がリポソーム2重層の外側により多く挿入されたことを示唆している。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 作製リポソームの粒径比較結果


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る